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4月22日(月)M「カルデロン」T FACTORY

作:ピエル・パオロ・パゾリーニ、訳:田之倉稔、構成・演出:川村毅、衣裳・美粧:宇野亜喜良
 ミラノのカルザンテイ社より出版されているパゾリーニ全集の戯曲編に掲載されている6本すべての上演を、この「カルデロン」と同時上演のリーデイング「ピュラデス」(未見)で行ったことになった。「オリジア」のリーデイング二始まり、「豚小屋」「騙り」「文体の獣」と続いたパゾリーニだ・・。パゾリーニの戯曲は、オーソドックスな戯曲からはまったく逸脱してもので、だが”劇的とも呼べる生々しさと血なまぐささを抱えている”魅力に憑かれて、川村はこれをポスト・ドラマの戯曲としてとらえて演出したという。この「カルデロン」も物語として紹介するのは難しい・・。17世紀スペイン、劇作家ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカの戯曲「人の世は夢」、画家デイエゴ・ベラスケスの絵画「ラス・メニーナス」にインスパイアされた、パゾリーニの幻想の世界・・・。宇野の美粧にはこの「ラス・メニーナス」が舞台に随所で映し、なぜかそれと日本の高橋由一の名画「鮭」が映されているのが不思議・・。新国立劇場研修所一期生の河合杏南が演じるロサウラという若い女をめぐる話で、若松武史、笠木誠、大沼百合子らに蘭妖子、新橋耐子が加わる異色キャストでパゾリーニの映画から感じられた鬱屈した興奮が伝わってくる芝居で、川村の出発当時からの、新しいもの、難しいものへ冒険的な試行の持続に改めて思い至り、敬意を表すること大だ・・。
▲第64回湯島句会、神保町銀漢亭にて。今回は選ばれないと諦めかけていたら、披講の最後のほうで近恵さんが、一句、兼題のカト(難漢字表記でオアタマジャクシのこと)での「蟇蛙お前も元はカトなのか」を採ってくださった。これで後の酒がさらにうまくなった。谷岡さん、堀切君、松代展代さんたちとワイワイ騒いで日本酒がやたらに進んで・・・。堀切君から東大大学院の論文集「表象」をいただく・・。
・孫崎亨「戦後史の正体」読了、外務省の大使経験者が書いた本だから説得力が多大にあるのだが、戦後日本の総理大臣をアメリカに対して「追随派」と「自主派」に腑分けして、現在はほとんど追随してほとんどアメリカのいいなりだと結論ずけるのだが、むろん自主派がいいに決まっているが、これまで全てがアメリカはの謀略で日本が支配されているという、謀略史観はちょっと疑わしい気持ちにもなる本だ。一匹狼の人か・・。

by engekibukuro | 2013-04-23 11:46 | Comments(0)  

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