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8月10日(土)M「兄帰る」(作・演出:永井愛)二兎社

東京芸術劇場シアターウエスト。
  再演だが、面白いネエ・・、久しぶりにお芝居ならではの登場人物の面白さを堪能した。主人公は慶応大学をでたのに、パチンコ、競馬、競輪、競艇、はてはサイコロ賭博までばくちにのめりこみ、借金がかさんで親が本郷弥町の家屋と土地を売らざるを得なくたった男(鶴見辰吾)・・。舞台は、この男の弟(堀部圭亮)とコピーライターの妻(草刈民代)が無理して建てた豪邸のリビング。。その男の姉(伊東由美子)も着ていて大騒ぎ・・家を追い出されて音信不通だった兄が突然、弟の家を捜し出してころがりこんできたのだ・・。ホームレス暮らしまでやって・・と、大迷惑だがほうりだせば家のまわりウロウロされて、警察が肉親がどうのといってくるし、とにかくどこかへ就職させてまともな暮らしをさせるしかないと、ダンボール屋の叔父(二瓶鮫一)や酒屋の女房の叔母(藤夏子)に頼みこむ・・、この兄、表面は改心して姉や弟の言うことを聞いているようだが、なんとも胡散臭いし、妙な支配力もあって、それに実印がしまってある引き出しがいじられちている痕跡があり、弟の妻は警戒心を隠さない・・、始末が悪いのは、この叔父と叔母が犬猿の仲で、大筋は兄の職探しだが、芝居はそのことで肉親たちが右往左往したり、ややこしいことを目論んだり、コピーライターの妻がことあるたびに場違いの正論を履いたりするその場のタイミングの交差の絶妙な面白さ、人物相互間のやりとりのおかしさなど、ハロルド・ピンターのねじれた面白さに通じていると思った・・。ブログの範囲ではこれ以上大変だが、初演は立川三貴がえんじて、それもよかったが、鶴見もこの世の中の裏面を生き抜いてきた不気味な気配が無類で、草刈民代もノホホンと正論を吐く女を好演しているし、劇団離風霊船で高橋克実の先輩の実力俳優である伊東がその実力を、この舞台で全面的に展開して年来の伊東ファンである私は嬉しかった・・。それに子供のことでの草刈の友達を二兎社の「シングルマザース」に続いて出演している劇団ハイリンドの枝元萌が面白い・・。さて、兄がこの家に来た本当の狙いは・・、これはこの芝居は9月1日まで上演しているから観る人もいるだろうし、おススメだから、この意外性とこの兄にも一筋の人間味があるというこれも逆の意外性の結末も書かないでおく・・・。

by engekibukuro | 2013-08-11 09:25 | Comments(0)  

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