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8月11日(日)

 ▲筒井康隆「偽文士日録」(角川書店)を読んだ・・。タバコ吸い放題、鮭飲み放題で、もろもりご馳走を食べ、出す本、ことごくく版を重ねる作家、役者としてはホリプロ所属で毎週大阪のテレビ番組の収録に出かけ、神戸垂水と東京原宿の二つの自宅を往復する・・。筒井のブログを本にしたものだが、それが”偽”の”偽”たる由縁だが、”文士”というとンあにがし貧乏臭いニュアンスがあるが、とんでもない、それも自分の力で築き上げたなんとも豪勢な暮らしっぷりで、78歳でこんなに元気で、仕事の依頼は引きもきらず、それもタイガイは引き受けてている。お出かけは大体愛妻光子さんと同道、京都の義弟夫妻と定期的に義弟のベンツで旅行する・・。去年朝日新聞に連載した小説「聖痕」の挿絵を描いたのは一人息子の画家筒井伸輔、それにについて”武蔵野美大をトップで合格、トップで卒業、ミヅマアートギャラリーの秘蔵っ子筒井伸輔とのコラボであり、はあはだ心強い”と書く・・。羨望の域をこえる人だが、私はSFが苦手で、あまり筒井の小説を読んでいないが、それでも「朝のガスパール」「わたしのグランパ」には感服し、特に朝日の連載「聖痕」の今では忘れられた古い日本語、言い回しを採取、復活させてそれが現代小説に魅力的にマッチするのに驚き、日本語の効果的な使い方を学んだ、常に新しい工夫や冒険をする進取の気構えがすごい・・。362ページの半分が、その日や旅行での旅館の献立の列挙でこちらは1年に一回でも食べられるか怪しい豪華メニュー、
こうなるとプーアはプーアなりの楽しみや面白さがあるんだいたいな気持ちになり、「極貧の輝き」とか「プーア・エピキュリアン」などというタイトルの小説を書けたらなあとか思ってしまう・・。とにかく、なんだか元気になる凄い本だった。
・今晩のNHK日曜美術館は銅版画家で彫刻家の浜田知明、95歳で故郷熊本のアトリエでお元気な様子・・、2010年に神奈川県立美術館葉山で、大回顧展をみた・・。哀しみとユーモアの自分の軍隊体験を元にした「初年兵哀歌」シリーズが有名だが、浜田さんは”人間の暗い面だけでなく、明るい、下らない面も・・”と言っていて・・sそういう面での「何とかなるさ<I Can MANAGE>」という銅版画が好きだ、針金のような手足をぐにゃぐにゃさせた男が、目玉のようなお手玉を空中に転がしている図柄だが、”窮境”に陥ったときこの絵を画集で見ると、ホントに「何とかなるさ」と思えてくる・・・のだ・・。

by engekibukuro | 2013-08-12 09:15 | Comments(0)  

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