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1月17日(金)M〔桜ふぶき日本の心中」椿組

脚本:宮本研、構成・演出:西沢栄治(JAM SESSION)、プロデューサー;外波山文明、ザ・スズナリ

 開幕、外波山扮する座頭闇の市がバッタバッタと捕り方どもを斬りまくる・・、この殺陣が見事で迫力満点、わくわくさせる導入で、西沢の演出はこのわくわくを最後までのこして盛り上げた。この芝居は宮本研が1973年に太一喜和子のために書き下ろした作品、副題は「時代劇と劇中劇による9場」、これを椿組の「天保十二年のシェイクスピア」「椿組・どん底」を構成・演出して興趣を盛り上げた西沢が、この隠れていた名作を見事に蘇みがえらせた・・。闇の市は旅の途中でいきがっかた二歩の市、鳥の市という二人の座頭と同道、この3人が狂言回しで、江戸から戦後闇市、60年代の東京、そして東北と物語につきそう・・。”女郎とお巡りは日本では同じ数いる・・・、時代を通じて凶状持ちと女郎の無理心中、兄と妹の近親愛、日本の底辺の男女の性愛の死とせめぎあう悦楽の濃さを描いて、いまの男と女の関係の希薄さを浮かびあがらせて、なにか日本の失ったものを大きさを感じさせたのだ・・。民謡が突如「ザ・バイカル」に、そしてインターナショナルの大合唱に、その時代を象徴する音楽を使って、ダイナミックにひたすら男と女、心中をつきつめてゆく・・。ラストは闇の市は、二歩の市、鳥の市を懲り殺す、孤高の謎を秘めた座頭、メクラの目には時代がどう映るのか、この最後の殺陣は、それこそ”トバさんカッコイイ”と声をかけたいくらい・・、新年、文句なしの推薦芝居、19日まで・・・。

▲ミリェル・スパーク「ばん、ばん、はい死んだ!」(河出書房新社)、ひさしぶりに小説らしい小説読んだ。が、こういう英国特有のテイストの小説をゆっくり楽しむ時代ではなくなったな、とは思う・・・。

by engekibukuro | 2014-01-18 07:28 | Comments(0)  

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