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2月15日(土)M「しあわせな日々」アリカ+金氏徹平

原作:サミュエル・ベケット、新訳:倉石信乃、演出:藤田康城、美術:金氏徹平
 出演:安藤朋子、福岡ユタカ(Yen Calling)、横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

 まず驚くのは舞台中央にガラクタ・廃品の山が傷かれ、その頂点に安藤がしなだれかかている構図、チラシにアリカ+金氏徹平と特筆されている、この廃品の山自体が金氏のアート作品ということなのだろう・・。この作品の主人公ヴィニーはいろいろな女優で観てきた。まず来日公演のジャンルイ・バローの妻のマドレーヌ・ルノー、これは彼女の当たり役、下高井戸の小さな劇場での豊川潤演出の富永由美、松本修演出の大崎由利子、最近では佐藤信演出の出の竹屋啓子、それぞれの女優の個性がくっきりと刻印される作品でベケットの醇乎たる傑作だ・・。今回の舞台も安藤の個性が浮き彫りになった・・、本来の指定ではヴィニーは円丘の穴に一幕では腰まで、2幕では首までヴィニーは埋まっている・・、が今回は廃品小山の頂点に腰までうまったヴィニーは、その山に君臨している感じで、一人語りもそうとうに自己主張的で激しい、ときには絶叫するヴィニーで、例えばわたしには一番しっくりした富永の静謐な強さの印象の演技とはちがう・・。しかし、これも一局で、こういうヴィニーも安藤のオリジナルな創造だと充分に納得できた。これは大方恣意的にならざるを得ないさまざまな解釈、装飾をかいくぐって、ただただヴィニーのシンプルな”しあわせな日々”への確信が体感できればよく、それを安藤が十分果たしたと実感できたから・・。

・馬車道駅から赤レンガまで、雪かきができていない雪道、一面の雪原を踏み越えてゆくのは年寄りにたいへんな難路で、ホールについたときの到達感はそうとうなものでした・・。

by engekibukuro | 2014-02-16 09:32 | Comments(0)  

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