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3月4日(火)M「おそるべき親たち」作:ジャン・コクトー

翻訳・台本;木内宏昌、演出:熊林弘高、東京芸術劇場シアターウエスト
 2010年初演で、この作品で熊林は毎日芸術賞千田是也賞を受賞した。出演は佐藤オリエ、麻美れい、中嶋朋子、満島真之介、中嶋しゅう・・、満嶋はこの初演でオーデイションンで選ばれデビュー、その後順調に活躍・・・、初演のとき共演のヴェテランを誰も知らなかったという、それがよかったのか初演のときの初々しい好演は記憶に残る・・。熊林は若いときにベニサンピット健在の時にtptに入社して、佐藤、麻美、両中嶋と知り会った・・。だからとても幸せな演出家で、このいまの日本では最高水準の俳優の演技を楽しめる舞台を創り出せたのだ・・・。初演の記憶が生々しいくらいで、俳優の演技そのものを観られることでわくわくする舞台は希有だ・・。熊林は日本の芝居より、少年時代から見てきたベルイマン、タルコフスキー、ビレッソンなどの映画からきた美学で舞台を組立て、俳優はそれに応えて役をとことん突きつめ、緊張と弛緩の織り成す見事な舞台が出来上がっている・・。1936年ナチス台頭の戦争の気配濃厚な時代の崩壊しかかったブルジョワ家庭の母と息子のl極度の近親愛、知らずに一人の女を父親と息子が奪い合う構図、肉親を絡めての人間関係の荒廃をなめるように活写したこの芝居がもたらす先がみえない暗い雰囲気は熊林の美学的達成をこえた訴求力があった・・・、ヴェテラン揃いの中でも麻美の振る舞いは圧倒的だ・・・。
▲七字英輔「ルーマニア演劇に魅せられて」(せりか書房)を読む。AICT賞候補作。20年にわたって、ルーマニア、モルドヴァの演劇祭にゆき、とくに近年盛名を誇るシビウ演劇祭に通いつめ、日本からの招聘公演にもかかわった記録で、すごいことをやり続けたとおどろき、一つ一つの舞台の記憶の詳細さにさらにおどろく本だ。なかでも日本からの作品は、なにがなし、ジャポニズムの要素があったが、MODEの「変身」をカフカの生地チェコを含め、東欧諸国で上演して絶賛を浴びたという、つまり日本の現代劇の水準の高さが認められたということだろう、そういうこもふくめ、世界の中での日本の芝居の位置についての論考がほしかったということを含め、いりろ話しあいたい本だ・・・・。
▲「群像」3月号、片岡義男「3つ短編」が面白い。もうとっくに後期高齢者なのに、よくもこんなに若々しい小説を書けるね・・、3つ目の「ミッキーは谷中で六時三十分」の元ポルノ女優がやっている食堂でだすアメリカン・クラブハウス・サンドウイッチのうまそうなこと、地元の鶏専門店のスモークド・チキンでつくるそうで・・、この元ポルノ女優は、一人娘が今日知り会ったばかりの青年を連れてきたのだが、この青年母親が気に入って帰りに送ってゆく娘に、別れ際にはキスしなさいと言い下し、二人は千駄木の駅の改札でキスする。

by engekibukuro | 2014-03-05 08:22  

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