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3月8日(土)M「彼の地」(作・演出:桑原裕子)

北九州芸術劇場プロデュース、あうるすぽっと
 北九州芸術劇場は20代、30代の若い才能を約一か月半、北九州に住みながら作品をつくるという試みを行ってきた。特徴は五つ。1 どこか北九州をイメージさせる内容。2 第一線で活躍する演出家が北九州に住みながら作品を創ること。3 オーデイションで選抜された、地域の役者を中心にしたキャステイング。4 北九州芸術劇場のメンバ-を中心にしたスタッフ構成。5 東京公演で発信をおこなう。
 いまでに鐘下辰男、東憲司、松井周、鈴木聡・松村武、柴幸男、藤田貴大、この5人の劇作家・演出家が5つつの条件で作品を創り、東京ではあうるすぽっとで上演してきた。プロデューサーは来年3月閉鎖する青山円形劇場の初代支配人で数々の名作を舞台にかけた能祖将夫だ。
 さて桑原の作品は、先の五つの条件を全面的に満たし、北九州・小倉の町に未着した、観光案内もかねた作品で、小倉の町の気配、息吹をじかに感じさせる芝居になっていた・・。舞台は二基の階段とテラス、家屋と屋上がある建物があって、その建物を一定のリズムで舞台をまわす、回り舞台が基調になって、そこを巡るさまざまな人物が交差し、交流してゆく、それはロバート・アルトマンの映画「ショート・カッツ」を思わせる、関係・無関係の人物群が織り成すエピソードの顕現、集積の進行で、家族、兄弟、恋人、結婚にかかわるもつれ、アル中の兄を抱えヤクザの手下の弟、そのヤクザが度外れの愛猫家で気に入った猫をさがすのに夢中になって、とか地元の優良企業の技術者、出稼ぎのヴェトナム人、19人の役者を使い、それぞrくっきりした人物像、各種の興味深いエピソードを描きだし描き分けてドラマをこしらえた桑原の腕は確かなものだったし、舞台を進ませる流動感は見事なものだった・・。むろん役者陣の鮮度抜群の演技も特筆していい秀作だ。ただ、ラストのエピソードすべてをそれなりに落着させる大団円は、ちょと過剰だと思う向きもあるかもしれない・・とは思う。

by engekibukuro | 2014-03-09 09:14 | Comments(0)  

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