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3月10日(月)S 世田谷パブリックシアター

「神なく国の騎士ーあるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?」(作;川村毅、演出:野村萬斎)

 川村は萬斎とのパンフの対談で、萬斎のドン・キホーテがもたらす普遍的なものと大震災後の日本という現実との兼ね合いについて川村に問う、川村は”作家として常に「自分が生きているこの時代しか書けないものを書こう」という意識は持っています。基本的に、言葉や物語の構成に新しいものなどない、といのが僕の考え。全てが書かれ尽し、やり尽されて、僕らは昔からあるものを換骨脱胎して創作するしかない。でも「時代」のことは、そこで生きている人にしか書けないから、それを残すことには意識的です”と応じた。
 そんことはわかるが、なかなか一筋縄ではいか確保するない舞台。キャストも、ドン・キホーテが野村萬斎、サンチョ・パンサが中村まこと、そして川村が創った人物たちを、木村了、馬淵英俚可、村木仁、谷川昭一朗、深谷美歩という異色メンバ-、それに大駱駝艦の男女8人のダンサーが加わる・・・。この役者陣がパンフで、川村のテキストを、異口同音に何回読んでもわからないと語っている・・・、萬斎はこの難解さから放射されているもの、そこに含意されているものを舞台に打ち開きべく、粉骨砕身の陣頭指揮で、甲冑姿のキホーテから、和ものの時代劇、座頭市からナニ々まで時代劇の早変わりまで見せ、自分の身体能力をフルオ-プンして、シーン、シーンを活性化し、役者陣もその勢いに呼応して舞台を盛り上げ、大駱駝艦の舞踏手の異形の身体が舞台の強度を確保する・・、あらゆるパフォーパンスを糾合した感じの舞台は、ラストのキホーテの、”神はどこにもおりません、だが皆の衆、ゆめゆめお忘れめさるな、神々はわれらが胸のうちにある、生き抜くのだ!という最後の台詞に結実、血の通った言葉になり、時代を撃つ言葉として客の胸に届いたのだ・・・。

by engekibukuro | 2014-03-11 09:15 | Comments(0)  

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