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3月20日(木)M★みつわ会S★★錬肉工房

★毎年3月に久保田万太郎の芝居を上演するみつわ会ー其の二十四の二本の芝居(演出;大場正昭) 六行会ホール
1・「弥太五郎源七」は江戸時代もの、信望を集めていたやくざの親分弥太五郎源七が、なりあがりのやくざの親分に侮辱されて、いっときは辛抱していたが、とうとう腹にすえかねて、その親分を殺してしまい、そのうえなりゆきで行きつけの居酒屋の仏のような夫婦まで殺す・・・、その間、ちょうど梅雨時で、雨が降りしきっていて、暗い照明に終始する舞台は話の暗さをらに深めて・・・、この親分を演じるのが菅野菜保之、毎年みつわ会の芝居が楽しみの目玉は、この菅野の芝居なのだが、この戯曲少々一本調子なので、メリハリをサマにする起伏が乏しくて芝居のしようが一本線で、今回はちょっと残念だったかな・・・。
2・「一周忌」は関東大震災の数年後旦那を1年前に亡くした美人の未亡人が、一周忌の墓参りにゆくときに旧知の保険屋がきて時間をとられて・・・姉がきて、姉の旦那がきてというあっさりした芝居だが、この姉の旦那を演じるのが冷泉公祐、この人、文学座にいたときのアトリエ公演で演じた久保田万太郎の芝居の浅草の職人が絶品だったので、楽しみにしていたのに、出番がほんのわずかで、これはがっかりだった・・。
★★現代能「始皇帝」(作:那珂太郎、演出:岡本章、出演;観世銕之丞・山本東次郎、宝生欣哉)国立能楽堂。岡本の10年越しの念願がかなった素晴らしい舞台だった。この現代能の最大の特長は、地謡をギリシゃ劇のようなコロスにしたこと、このコロスを背景に銕之丞扮する始皇帝およびその亡霊、その秦の始皇帝の命を受けて不老不死の仙薬を求めて旅する山本東次郎扮する徐福のドラマがダイナミックに浮上するさまは権力の頂上を極めた人間にも時間は制覇できず,死の訪れを拒めない劇を、現代詩の巨峰那珂太郎の作そのものの力が基盤になっているのだが、梅若玄祥の節付による囃し方の迫力は尋常以上で、コロスの朗誦の迫力とともに、この現代能が舞台芸術の華として立派な面目を創出したと思う。終演後能楽堂食堂での乾杯の会で、40年にもわたり錬肉工房の舞台を観てきたかいがあったと、岡本に心から賛辞を呈したのだった。

by engekibukuro | 2014-03-21 07:38 | Comments(0)  

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