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3月24日(月)M「幽霊」)シアターコクーン

作:ヘンリック・イプセン、演出:森新太郎、翻訳:毛利三彌、主催・企画制作:ホリプロ
 キャストは安蘭けい、忍成修吾、吉見一豊、松岡茉優、阿藤快という異色メンバー、私は吉見以外初めて観る人たちだ。いままでイプセンは新劇の主要レパートリーで、上演もひとつの新劇パターンがあった。今回の上演は、そういう今までのイプセンの舞台の感触とずいぶん違う・・。これはイプセンの現代化という世界的イプセンりバイブルと同じ路線につながっているのだと思う。それどを感じさせる、休憩なしの2時間40分の緊張感がゆるまない舞台だった。雨が降りやまないノルウエーの辺境の地のアルヴィング家の屋敷、パリで絵の仕事をしているアルヴィング夫人(安蘭)の息子オスヴァル(忍成)が帰ってくる・・、この屋敷では、そのとき夫人とは昔からきわめて昵懇の牧師マンデルス(吉見)が来ていて、おりから夫人が建てた孤児院が竣工して大工エングストラン(阿藤)と、この男の義理の娘で、アルヴイング家の女中をしているレギーネ(松岡)がからむ、この5人が、近親愛、梅毒の遺伝、不倫とか、過去のいまわしい出来事が、アスヴァルの極度の絶望の叫びをとうして幽霊のように蘇みがえってくる・・。この舞台では、俳優が演出家のプランに即した役ずくりをするのではなく、役者の演技本能と演出家の解釈が舞台上でせめぎあう迫力で、森が強調する、この芝居でのイプセンの暗い話も、果ては笑うしかないというようなドタバタ調の笑いのひびの効果とあいまって、どくとくのイプセンの舞台ができあがったのだ・・。そして、この芝居を観て、人間がどんな危うい土台の上で生きているのかを痛感するのだ・・。おそらくイペセンの芝居を初めて観ると思われるコクーンの若い観客も感銘させたとおもう・・。
わたしが初めて「幽霊」を観たのは1956年の俳優座公演、この舞台でのオスヴァルは仲代達矢、彼のデビュー作だった。演技というより、舞台姿が素晴らしかった印・・・。

by engekibukuro | 2014-03-25 07:21  

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