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3月31日(月)

▲アカデミー賞作品賞を受賞したステイーブ・マックイーン監督の「それでも夜は明ける」を新宿武蔵野館で見た・・。アメリカ北部のミュージシャンの「自由黒人」が、ワシントンの仕事場で白人の仕事仲間に騙され、南部のあ奴隷商人に売られ、次々転売されて過酷きわまる運命にさらされる・・。そのシーンの数々はもう映画を踏み越えて、事実そのものに直面するような映画だ。主人公はそれでも脱出することを決してあきらめず、試練に耐え、ほんの偶然のメドをつかみ解放される・・。たぐいまれな”運”をつかめたとしか言いようがない。奴隷制度に疑問をもっている、カナダ人の白人の大工が北部の主人公の友人に手紙をだしてくれたのだ。この白人の行為は南部では厳罰なのだ。当時ではこの解放はありえないよなまれな事実だったそうだ・・。黒人監督の同胞のルーツを描き出した映画は、アメリカ人全体の歴史の再認識なのだろう・・。
▲東浩紀編「福島第一原発観光化計画」(思想地図)を読む。
 福島の原発被害地帯を観光地にして大勢の内外の人々にきてみらうという計画を、チェルノブイリを参考にしながら描いた考察に基づいた設計諸論で、編者の東はとにかくどんな動機でも,ただの観光気分でもいからフクシマへ来てほしいということでうちたてた計画だという。東と7人の研究員がの書き上げた本だ。その研究員の中にいわき市出身で現在も住んでいる開沼博もいて、開沼は上野千鶴子門下の東大社会学部出身の社会学者でまだ30前の論客で、私もいろいろ読んでいて、この人が、「福島は危険で不幸であらねばならない」という一部の差別的言説に怒り、当地生まれの当人が、東の意向に賛同してチェルノブイリにも行き、活動していることが、この本の価値を保証していると思う。わたしはこの活字の小さい文字が読みにくく、完読はできなかったのではなはだ不備だとは思うが、学ぶことはできた。東のあとがきにあたる”旅の終わりに”も独特で、東はもともと哲学・文学の人で、数々の業績もある。その彼は、日本は脱原発を国是にすべきだとは思うが、哲学・文学が「ここにないもの」を考究する営為だが、目に見えない原子力も「ここにないもの」を欲するものという意味で、哲学・文学と相似しているといい、この本も「文学的な仕事」だという・・。これは私の理解に届きにくいにしても、ひとつの壮大な試みの端緒の本だとは思う。

by engekibukuro | 2014-04-01 08:52  

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