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4月15日(火)飴屋法水「ブルーシート」(白水社)

 岸田国士戯曲賞j受賞作を読む・・。いわき総合高校・表現系列(演劇)アトリエ公演のために書き、いわきに出向いて演出した作品だ。上演は学校の校庭で行われた。10人の男女の高校生と謎の11目の人造人間がでてくる、震災を体験し、死者を目撃した高校生たちの見事に抽象化されたシンプルな言葉で、死と生の究極のイメージを紡いでゆく詩劇だ・・・。
 ”人は、見たものを、覚えていることが、できると思う。人は、見たものを、忘れることが、できると思う。”というこの劇の中心的フレーズを選考委員の野田秀樹は撰評で、”人は大きな不幸に出会った時=つまり大量の死体と出会った時、それを「記憶」することと「忘却」することによって、その事件を超え生き延びのびようとするのだ。と見事にパラフレーズしている。野田はこの過酷な現実を劇言語で昇華した作品を、シンプルで美しい作品として、”飴屋法水氏の『ブルーシート』が群を抜いていた。いさしぶりに積極的に推した い作品と出会った”と強力に推奨したのだ。
 飴屋は状況劇場の音響係を経て、東京グランギニョル、M.M.M.を結成し、特異な機械と肉体の融合を図る特異な演劇活動を展開し、90年代には美術活動に転じ、同時に動物を飼育・販売する「動物堂」を開店する。2005年には自身が箱の中に24日間入り続ける「バ  ング  ント」展での決死的美術活動を行う。そのご平田オリザ作「転校生」の演出で演劇に復帰、その後、多田淳之介や藤田貴大など若い人と組んで演劇活動を展開している。わたしは東京グランギニョルから飴屋を観ていて、美術活動も美術批評家椹木野衣が高く評価して、箱入りパフォーマンスは観なったが、ユニークなオブジェ作品は見ている。さらに飴屋は役者としても実にいいのだ。昔、美加理と島尾敏雄原作の「死の棘」と共演したのも、新転位21で山崎哲作・演出の東北の娘を殺したという母親の事件を劇化した芝居でその母親の弟を演じたのも、じつによかった。この本には「ブルーシート」と児童劇「教室」も入っていて、この児童劇は人間が動物だという飴屋の生き物観が結実した面白い作品だった。飴屋は演劇、美術にわたる幅広いアーテイストで、この受賞でそれが確認されたのだ。この本の表紙の被災地の写真は奥秋圭君の撮ったものだ・・。

by engekibukuro | 2014-04-16 07:23  

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