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5月27日(火)S「関数ドミノ」(作・演出:前川知大)

イキウメ、シアタートラム
 ”ある地方都市で奇妙な交通事故が起きる。見渡しの悪い交差点、車の運転手は歩行者を発見するが、既に停止できる距離ではない。しかし、車は歩行者の数センチ手前で、まるで透明な壁に衝突するように大破した。歩行者は無傷。幸い運転手は無傷だったが、助手席の同乗者は重傷。目撃者は6人。保険調査員の横道はこの不可解な事故の再調査を依頼された。”という発端の芝居で、そのごさまざまな目撃証人、そこから派生する人間関係の重層、そして事件解明の決め手は、目撃者の一人真壁薫の断定、荒唐無稽かもしないが、これはドミノ現象だ、至近距離の目撃者、歩行者の兄の左門森魚はドミノ保持者だ、これはあくまで仮説だが、検証に値する、というようなことをいい、その線で解明が始まって・・・。この公演は再演だが、初演では舞台に超常現象の空気が充満していて、その空気に呑まれて、ドミノというものにそれほど留意しなくても済んだが、今回は芝居の運びの論理性が高く、ドミノという概念のわかりにくさが浮上、ドミノ倒しとはちがうのか、新種の念力かとかつかまえるのに往生した・・。しかし、それはそれとして、イキウメの役者群の個性的面々の演技はそれじたいで十分楽しめる、前川の劇作のコンセプトをそれぞれ体現した独特のアンサンブルの魅力、演技賞を受賞し、評価がどんどん高まっている安井順平、浜田信也、独特の高い声が魅力の大窪人衛、うだつが上がらないのはこれ以上ないような役で、忘れられない存在感を示す小柄な森下創、外の舞台できらめいた伊勢佳世、吉田蒼、新倉ケンタ、盛隆二、岩本幸子、順風満帆の安定感を前川・イキウメという劇団に感じるのだ・・。

by engekibukuro | 2014-05-28 08:17 | Comments(0)  

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