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6月13日(金)S ★マームとジプシー★ 

「△△△ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっとー」(作・演出:藤田貴大)東京芸術劇場シアターイースト
  岸田國士戯曲賞受賞作を大幅にリニューアルした作品・・。北海道の藤田の生家が区画整理で壊され、道になった。この芝居は、それを想起させるある家族と家族の友達、まわりの人々の歴史・・舞台は劇場の半分の平土間土に木製のプレートを設え、その上に六角形の手動で回すさアクトスペースを置き、シーンごとに組み立てる仮設の木組み・・、バックに街や食卓を俯瞰する映像スクリーン、役者は男女とも白一色の簡単服・・・、ことさらのドラマテイックなことはない、ごくフツーの日常の繰り返し、友達が海で死んだり、父親が死ぬことはあるが、中心になるのは、兄弟姉妹のもめごと、喧嘩、食卓の大勢で食べるソーメンやバターごはんや、おせっかいなオバさん、その人たちが織り成す日常茶飯事が、1アクションごとの男女全員のでんぐり返しなどの身体表現や、ポイントシーンの執拗な反復、それらが織り成すハーモニーが、独特の藤田・マームとトジプシーのテイストに染め上げてゆく、その染め上げのリズムの中で、もめごと真っ最中に日本中を徒歩で旅するという女性の旅人が闖入したり、芝居のオカシサ、異質のエレメントもあるし・・。全体にみなぎるのは、その町から東京へ出てゆく人たちの動静の気配も含めて喪失の切ないくらいのポエジーだ・・。ホントにチャーミングなデテイールの集積が、結末に向かう寸前に舞台が暗黒になり、不気味な地震のような、銃声のような断続音が響き、暗黒の向こうに燐光のよな光が明滅する、この芝居の小さな町の一家の喪失感は今の日本のなにか大事なものが失われてゆくことへの予兆にように突き刺してくる・・。”かえりの合図・・”の含意は射程がとおくまで届くのだと思いたい・・・。

by engekibukuro | 2014-06-14 07:33 | Comments(0)  

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