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7月9日(水)M「太陽2068」シアターコクーン

作:前川知大、演出:蜷川幸雄

 前川が2011年に書き、イキウメで上演した「太陽」をもとにして新たに書き上げた作品だ。2011年の時のこの作品は、そのSF的イマジネーションの特異の内容、その迫力に撃たれた記憶が生々しい舞台だった。ウイルの蔓延で人間が変質し、太陽を忌避し夜に生きる方途を見出し、それなりに豊かに暮らすノクスと太陽の下では暮すが、窮乏が加速しているキュリオ(骨董品)と、二つの種族に分離している、2068年の日本。この芝居を観て、一瞬にしてその意図、寓意がわかってしまう芝居、このテキストが出発点の2011年の大震災をふくめ、現代社会をゆるがしている民族紛争など、さまざまなアクチュアルな問題を内包しているが、それが先導するのでなく、そこに俳優の肉体がどう現実感を与えてくれるのかが、僕にとっては大切な問題でした、と蜷川は語る・・。とくにこの芝居での中心メンバーの綾野剛、成宮寛貴、前田敦子、さらにさいたまのネクストシアターの内田健司などの若い俳優たちの演技が変わり始めているという、さらに藤田貴大の「マームとジウシー」の俳優たちが、かって”ドラマチック”とされた演技とは違う形で、あるゆらめきをつかまえている、それは”若い俳優たちが醸し出す繊細な空気感や身体感覚、センスといったものが、時代とともに確実に変わってきていると実感します”と・・。シアターコクーンにびっくりするほど大勢詰めかけている若い女性客は、スターを観にくるということもあろうが、そういう時代にマッチした演技に素直に共感していることが、ひしひし客席から感じられる舞台だった・・。


by engekibukuro | 2014-07-10 06:09 | Comments(0)  

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