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8月2日(土)M「KUNIO11ハムレット」あうるすぽっと

作:W・シェイクスピア、翻訳:桑山智成、演出・美術:杉原邦生
 杉原は 昨年、このあうるすぽっとで「東海道四谷怪談ー通し上演ー」を演出し、評判が高かった演出家で、それを見損なったので、今回は期待をこめて観たのだったが、期待どうりの見応えがある舞台だった・・。まず開幕前から舞台の上方に掲げられたTHEATREというネオンサイン、この文字のネオンサインが芝居に終始色を変えて、舞台美術としてつきまとう・・。”世界は「劇場」・・”というシェイクスピア名言集の言葉が、ぎっしりした中身の詰まった見事にシアトリカルに出来上がった舞台の表示として活きていたのだ・・。傾斜舞台を使った人物たちの登退場の効果的なタイミングのセンスといいい、スピーデイな展開の淀みなさといい、この演出家の才能は輝いていてみるみる舞台に引き込まれてゆく・・。これはテキストに最初のQ1版を桑山が使ったということ、この版の翻訳は安西徹雄による光文社新古典訳文庫にあり、演劇集団円で上演されたそうで、現行のテキストより全体が短いそうで、書誌学的なことはわからないが、その版を杉原がつかったことがこの舞台の成果の一因だと・・・。それと役者はクローデイアスが文学座の鍛冶直人、ガートルードが内田淳子以外は、オーデイションで選ばれた人たちだが、ハムレットを演じた木之瀬雅貴がとてもいい、小柄だが、おそれげなくこの大役に自然に向かって、難所を次々にクリアして、若々しい魅力的なハムレットを演じ切った。大昔観た、発見の会で若き田口トモロヲが演じたハムレットを思い出した。わたしのシェイクスピア開眼は、文学座の福田恒存訳・演出の芥川比呂志の「ハムレット」だが、この舞台で一番感動したのが、終幕のオフェリアの埋葬の場の芥川ハムレットと仲谷昇のレアテイーズのオフェリアをめぐっての愛の争いのシーンだが、以後内外のハムレットの上演の善し悪しは、この場の出来を目安にしているが、今回の木之瀬と後藤剛範のレアテイーズは見事に感動させてくれた・。”全世界は一つの舞台であり、すべての男と女はその役者にすぎぬ、彼らは退場があり、入場があり・・・”、そういうシェイクスピア劇を若い杉原が堪能させてくれた舞台、驚いた。
▲おもろの泡盛もうまかった・・。

by engekibukuro | 2014-08-03 09:53 | Comments(0)  

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