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8月26日(火)谷岡健彦句集「若書き」(本阿弥書店)

 「若書き」は現代英国演劇研究者・演劇評論家で東工大教授の畏友谷岡健彦の処女句集だ。
 彼が所属する俳句結社「銀漢」の主宰者伊藤伊那男氏の「序」で、彼が俳句に入ったいきさつについて・・。伊藤氏が経営する神保町の居酒屋「銀漢」に近くの女子大の講義の帰りに寄ったのがきっかけで、それから行くたびに常連の俳人から進められておそるおそる句会に出席して句を作りだし、面白くなり、自分の句が選ばれる喜びも体験、そのころが丁度結社「銀漢」の設立期にあたり、同人になって本気で関わりだす。「いったん俳句を始めるとなると、それはもう学究生活の訓練を続けている人だけにk、集中力はただごとでなく、また当然ながら理解も早く、あっという間に骨法を身につけて、句会で名乗りの声を毎回あげることになるのである」・・「序」は「この骨格正しい新人の出発を称えたい」と結ぶ・・。さらに結社誌に現代イギリス演劇をとりあげた「せりふの詩学」を連載し、それが「現代イギリス演劇断章ー舞台で聞いた小粋な台詞36-」というタイトルで出版された(カモミール社)。続編は演劇誌「テアトロ」に現在連載中・・。
さて、私の好きな句を挙げよう・・。
 ・摩天楼見上げつつ食ふパセリ ・落日を尾に乗せて飛ぶあか赤蜻蛉 ・運動会昼をまっすぐ走りきる
 
 ・輪唱の焚きつけてゆくキャンプの火 ・しかと踏め退院の日の霜柱(この句は私の退院を祝ってくれた句)

 ・船場山なかなか越せぬ手毬唄 ・麦を踏む村を離れぬ足が踏む(このリズムの小気味よさ!) 

 ・控え捕手胴上げされて卒業す ・若書きの詩(うた)の燃え立つ焚火かな(この句から書名がとられた)  

 そして、あった!「銀漢」誌で読んで心が浮きたった句、自分の甥っ子のことだろう・・

          ★風船を身体浮くまで買へと泣く    ・ いいでしょう!

by engekibukuro | 2014-08-27 09:43 | Comments(0)  

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