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9月12日(金)M「三文オペラ」新国立劇場

作:ベルトルト・ブレヒト、作曲:クルト・ヴァイル、翻訳:谷川道子、演出:宮田慶子、音楽監督:島 健
 年寄りの思い出話・・。この公演のパンフでの大笹吉雄の「叙事と歌とー『三文オペラ』―」で初めてこの「三文オペラ」を観た年が、1962年だと思い出した。俳優座公演、千田是也の翻訳と演出、マクヒイス(メッキー)が小沢栄太郎、ポリーが市原悦子、ブラウンが松本克平、ジェニーが中村たつ、この舞台の成功でブレヒトの存在が日本の演劇界に印象付けたのだった。いまでもいきいきと思い出せるほど市原のポリーは素晴らしかった。それに舞台上でガラスで区切った空間で、若き林光がカンカン帽をかぶってピアノを弾いたのだ・。それと同じパンフで「アヴィルと三文オペラーその革新性、普遍性、攻撃性の魅力」で、初めてヴァイルの音楽にの魅了されたのが、旧国鉄跡地に設営されたテントだたっとと書いている。これは黒テントの山元清多の翻案で日本の明治時代に移された、佐藤信演出、林光音楽監督の「三文オペラ」で、メッキーは服部良次、ブラウンが斉藤晴彦、この日本のブレヒト・ヴァイルと比すべき佐藤と林のコンビは、「三文オペラ」だけでなく、佐藤作詞、林作曲の数々の劇中歌の名曲を生み出した・・。この舞台、大田によれば”ヴァイル自身は、当初から歌い手に俳優を想定していた”とあるが、その俳優が歌う面白さを服部と斉藤が満喫させてくれた。さて、今回の舞台、ポリーを演じ歌ったソンニとジェニーの島田歌穂が素晴らしかった。ソンニの裏町娘のまわりを圧倒する生命力が舞台にピチピチ跳ね回っていたし、島田のメキーと歌う、「ヒモのバラード」ば絶品、この歌「三文ペラ」で一番好きな歌で、どんな上演でもこの歌だけには痺れるのだ。痺れるのは、それとラストシーン、絞首刑で首が折れる寸前に、戴冠式の日の女王命令で、特赦になり、そのうえあろうことか貴族の称号と多額の年金が授与される、このとってつけたようなバカバカしい結末にいつも感動する。世の中を笑い殺す猛毒がばらまかれるのだ・・。
▲ひとり晩飯で壇流クッキングを久しぶりに取り出して、-イカのスペイン風ーをつくる。中公文庫版の「壇鵜くクキング」の約90種類の料理は昔ほとんど作った・・。このスペイン風、イカの全貌をぶったぎり、スミもワタも混ぜた塩辛のもとのようなものに、にんにく、塩コショウ、ワイン、赤唐辛子で下味をつけ、サフランがあればとというが、サフランは高いから使わず、それをオリーブ油をおとした高熱のフライパンで一瞬炒めるだけ。そのワタをポンバトールのパン・ド・ミーにつけて、それでウイスキーを飲む・・止まらない・・。

by engekibukuro | 2014-09-13 08:29 | Comments(0)  

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