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11月16日(日)「老人力」赤瀬川原平

 わたしと同い年の赤瀬川さんが今年亡くなった。「贋千円札」裁判などの前衛美術家として関心があったが、
「老人力」は、還暦ぐらいで老人云々はなじめず、敬遠してきたのだが、亡くなったのを機に読んだ。とてもおもしろく、有益だった。なんで読まなかったのか・・・。”老人力とはなにか?物忘れ、繰り言、ため息等、従来ぼけ、ヨイヨイ、耄碌として忌避されてきた現象に潜むとされる未知の力。20世紀末に発見され、日本中に賞賛と感動と勘違いを巻き起こし、国民を脱力された恐るべき力”・・・。決してアンチエージングや、このトシであれもこれも若いものに負けないなどと頑張ることとはまるで違うこと、この一種のネガテイブパワーを「老人力」とネーミングしただけで、ベストセラーになり、赤瀬川さんがさまざまな取材、テレビや講演会にひっぱりだこになった・・。高齢者社会の老人にとって、いまでも示唆に富むのだが、これはわかる人には一瞬にしてわかるが、わからない人にはさんざん解説してもフにおちないものらしい・・。とにかくネーミング恐るべし!
「・・老人力で踏み込む世界というのは、次から次、死ぬまで未知の局面が現れてくるということでもあって、けっこう新鮮な思いができるんじゃないかって気がする。臨死体験じゃないけど、ヘタすれば死んでも楽しいんじゃないか、なんて考えたりしてね。老人力の極大は、死んじゃうことだから、老人力を百パーセント発揮して、この世のことすべて忘れてしまうという(笑)」・・泉下の赤瀬川さんはいかがか・・。
 <外房の離れ小島の老人力>の章での赤瀬川」さんが感動した94歳の俳人富安風生が、この島に来たときの俳句・・”初渚(はつなぎさ) ふみて齢(よわい)を 愛しけり”・・・・。
 心からご冥福を祈る!

by engekibukuro | 2014-11-17 08:51 | Comments(0)  

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