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12月4日(木)M★「鼬」S★★「夕空晴れて」

★作:真船豊、演出:長塚圭史、美術:島次郎、SISカンパニー、世田谷パブリックシアター
 真船は新劇史に確固とした名を残す劇作家であり、この作品は代表作で、大ヒットしたという。東北の寒村の昔は家老の定宿だったこともある「だるま屋」という旧家が舞台。今はすっかり落ちぶれて、老母のおかじが家を守っているが家屋敷は抵当に入っている。長男は南洋に出稼ぎに行っているが、とうとう家屋敷の処分がきまって、その処分をめぐって少しでもありつこうと、欲の皮まるだしで人々が群がってくる。この芝居は、その丸出しの欲の突っ張り合いを徹底的なリアリズムで描き出す。そこへ、昔、この村で悪事と不品行を重ねて村から放逐されたおかじの義理の妹おとりが、悪の才覚で金持ちになって戻ってきた。むろん、この家を自分のものするためだ。このおかじを白石加代子、おとりを鈴木京香が演じる。この芝居、憎悪の極の犬猿の仲の二人の罵り合いの迫力が大変な見もので、鈴木の悪女振りのもの凄さは、さすがの白石もたじたじになる勢いで、東北育ちだから東北弁もネイテイブで、舞台は初めて観るが、こんな立派な演技力の持ち主とは!ほかいに高橋克実、山本龍二、赤堀雅秋など強力な男優も善戦しているが、鈴木の一人勝ちの感・・。っそれと具象的な家のセットを排除して、ただの板張りの巨大ながらんとした抽象的な空間を設計した島次郎の美術が秀逸、このからっぽの空間の中で、業と欲にまみれた人間の営為が、ほんとうに虚しく見えるのだ。
★★作:別役実、潤色・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッテ、青山円形劇場。噛んだのは、ライオンか、虎か、はてさてクマかというナンセンスコメデイを、男は仲村トオル、山崎一、マギー、女は奥菜恵、緒川たまき、池谷のぶえ、犬山犬子が演じる・・。この円形劇場、来年そうそうになくなるが、この劇場でケラは岸田国士、別役実の芝居の演出、むろん自作も、面白い舞台を数々見せてくれた。今回もケラ芝居のトップ体現者の犬山を中心に面白く見せてくれた。ケラの劇場への惜別の辞、”本当に最後の青山円形劇場公演であります。大好きな劇場でありました。私のためにあった劇場といっても言い。よくはないが。さようなら、青山円形劇場。千秋楽までよろしく頼む。”

by engekibukuro | 2014-12-05 10:14 | Comments(0)  

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