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1月10日(土)M「アンチゴーヌ」新国立劇場

作:ジャン・アヌイ、翻訳:芥川比呂志、演出:栗山民也
 この公演は新国立劇場演劇研修所第8期生終了公演で、Cリファーサル室で上演された。舞台は全面を
十字路にして、その区切られた空間をABCDの客席にした。この作品は、アヌイがドイツ占領下の1942年に書いた、ソフォークレスの「アンチゴネ」の翻案だ。終了公演らしい熱気のこもった舞台で、当然の未熟そのものが、戯曲の命をそのまま伝えている舞台になっていた。この芝居はエデイプス王の二人の息子エテオクルとポリニスが王位を争い、差し違えて死ぬ。新しく王位についた叔父コレオンは、兄には盛大な葬式を執り行ったが、弟は死体そのままさらし、埋葬するものがあれば死刑にすると布告する。二人の兄弟の妹で、クレオンの息子エモンの婚約者であるアンチゴーヌは、姉シスメーヌ(ソフォークレスの原典では妹)の願いやエモンと愛をふrきり、兄ポリニスの死体に土をかけに行く・・。クレオンは姪の仕業に激怒するが、なかったことにしたいが、アンチゴーヌの死の覚悟はゆるがない。この劇の中心はアンチゴーヌとクレオンの激烈な対話だ。アンチゴーヌを演じた西岡未央は命がけの自己表明、死者の埋葬は一国の政治より神の定めた優位な行為だと一歩も譲らない・・。それを直に感じさせたせい一杯の演技、坂川慶成の演じたクレオンも死体をさらし死臭を一か月民衆にかがせて王の権威を保持するという政治の苦衷を、それらしい風格と陰影をもって演じていた。立派な終了公演だった。
★若松英輔・中島岳志「現代の超克」(ミシマ社)。この本は昭和17年に雑誌「文学界」に掲載された有名な京都学派と小林秀雄らの座談会「近代の超克」を読み直すための二人の対話形式の本。まず、前提として柳宗悦、ガンデイー(中島には「中村屋のボースーインド独立運動と近代の日本のアジア主義」という名著がある)、小林秀雄、福田恆存の主著をとりあげ、大東亜戦争の意味づけを行った座談会だと批判されているものから、今でも再考に価する論点を抽出して論じた。ただ、抽出された論点は興味深いのだが、この座談会がよくもわるくも「近代」という総称を超克するというものだったが、この本では「現代」という総称が見えてこない・・。
・今年初めてのおもろ・泡盛・・。中川君のみ・・。中川君のスマホに川上さんの逝去に関する有田芳生さんのメッセージが入り、”江森さん、長生きしてください”とあった。

by engekibukuro | 2015-01-11 09:41 | Comments(0)  

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