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4月21日(火)映画「バードマン」

 アレハンドロ・G・イニャリトウ監督のこの映画、アカデミー作品賞を獲った瑛亜がだが、アカデミー賞受賞映画でもこんな個性的な凄い作品もあるあんだね・・・。しかも、この映画はブロードウエイの劇場が舞台の、NYの演劇界の内情が赤裸々に描かれた映画なのだ。主人公は「バードマン」というスーパーヒーロー映画のスターだった男だが、仕事も家族も失って復活をかけて、自分で台本を書き、演出・主役もかねてブロードウエイの劇場にかけたのだ・・。この台本は高校生の頃、演劇部で芝居をやって、それを観に来たレイモンド・カーヴァーに、”よかったよ”というメモをもらい、それを肌身はなさず持っていて、この芝居もカーヴァーの作品を基にいているのだ。だが、ハリウッドの元sターに対してNYの演劇世界は厳しい、共演者のキャステイングも難航し、やっと選んだ男優もエキセントリックでインポだと広言していたのに、プレビューの舞台のベッドシーンで突然勃起してあわや相手の女優に・・・、そういうエキセントリックな役者、それに薬物中毒から生還した娘、別れた妻、妊娠を告げる今の愛人、さらに難物はニューヨークタイムスの初老の女性演劇批評記者、この女性、ハリウッドの落ちこぼれなど、NYの演劇界は許さない、プレビューも見ずに、”公演を打ちきりにしてやる”とバーで主人公元スターに言い放つ、彼は”この芝居に全財産をかけている、あんたは書き放題書いてどんなリスクがあるんだ”と抗弁するのだが・・。どうも映画で見る劇評家にはろくでもない人間が多い、トリフォーのナチ占領下のパリの演劇界を題材にした映画で、劇評家がレジスタンスの演劇人をナチに密告した、「毒薬と老嬢」の老嬢の甥はの演劇担当記者は芝居を観ないで書く、カナダのなんとかいう映画では演劇評論家が演劇界の権力絶大のボスだった・・。NYの舞台の初日の新聞の劇評がその公演を左右する、それだけ良くも悪くも権威がある、日本ではそれほどのこはないが。が、この初日前の神経をすりへらす緊張感は執拗なドラムソロが追いつめる・・。元スターには幻聴が遅い、タバコを吸いにアグン姿で外にちょっと出たら、アグンが扉にくっついて外せず、ガウンを脱いでブリーフだけで街を歩き劇場に戻るハメにいなる・・。その映像がネットに流れて・・。だが、そんな緊張感が元スターのかってのバードマンの鳥の姿でNYの上空を飛び回る映像で奇妙なバランスがとれて、いよいよ初日、が、ラストの主人公のピストル自殺のシーンで激しく舞台に倒れ込み血が噴出する、満場総立ちのスタンデイングオベーション・・。プロヂューサーが治療を受けている主人公にタイムスの初日の劇評をもってくる、なんと”この芝居はNYの演劇界に新しい血をもたらした”と絶賛しているのだ・・。ラスト、主人公は無人の病室の窓際に立つ、世話をしている娘が病室に戻ると父はいない、、だが、窓から空を見上げる娘の顔は満面の笑顔だ・・。素晴らしい映画だった、演劇批評家を演じた女優もなんともいえない存在感がある魅力的な女優だった。

by engekibukuro | 2015-04-22 08:16 | Comments(0)  

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