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5月8日(金)S 下北沢OFF・OFFシアター

「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(作:トム・ストッパード、翻訳:平川大作、演出:鵜山仁)

 文学座の浅野雅博と石橋徹郎の二人が組んで、2010年にアイルランドの芝居「モジョ ミキぼー」をこのOFF・OFFシアターで同じ鵜山演出で、一ケ月公演を大変だったらしいが敢行し好評を博した。今回はストッパードの名高い作品「ロズギル」(タイトルの略称)だ。昔、古田新太と生瀬勝久のコンビの上演で観た記憶がある。この芝居は一種不条理劇の感触で、この二人、ベケットの「ゴドーを待ちながら」を思わせる・・。いうまでもなくロズ・ギルは「ハムレット」のハムレットの学友として知られた登場人物だ・・ハムレット王を謀殺した現国王クローデイアスの命を受けて、不穏の気配のハムレット王子の動静を探り、つにはハムレットのイングラン行きに同行するのだが、航海中の嵐で王子は国王の陰謀の親書を知り、それを逆手に取って、ロズ・ギルはイングランドで死ぬ。このロズ・ギル、もともと友達ごかしがハムレトに嫌われ、国王の命令にただただ従順なロズ・ギルは、「ハムレット」の登場人物のなかでもいちばん不運で、つまらない人物に見えるが、この純然たるマイナス人物が「ハムレット」の世界に欠かせないパーソナリテイで、この劇の世界を独特の形で支えてえているのだと思う・・。大部分の人間は、なにかこういう不運なごくつまらないわき役として一生を終えるのではないかと、この人形を遣って、二人の世界に彩りを添えた、浅野・石橋のこの舞台を観て感じ、考えたのだった・・・。

by engekibukuro | 2015-05-09 09:16 | Comments(0)  

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