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5月23日(土)扇田昭彦氏死去!

 扇田さんが悪性リンパ腫で亡くなった。全くの突然だ。前夜シアターΧでピンターの「バースデイ・パーテイ」を観たとき、扇田さんが具合が悪いという話をきいて、朝、電話をしたら、息子の演出家の拓也君がでて、前夜亡くなったという・・・。この悪性リンパ腫という病気は、私も罹患してかろうじて生還した病気だったからなおさらで・・。扇田さんには、ずいぶんとお世話になった。雑誌「噂の真相」に小さな劇評コラムをもっていた私の劇評を読んでくれていて、後年「シアターアーツ」の演劇書の選定委員として御一緒して、討論相手として議論したりして、まがりなりにも劇評家になれたのも扇田さんのおかげが大きいのだ。ここで扇田さんの業績をきちんと書くことは出来ないが、朝日新聞の劇評担当という権威を逆用して、状況劇場・唐十郎を筆頭に、小劇演劇を世の中に紹介、公知させて、戦後演劇史にみならず戦後の日本の文化に組み入れたこと。「唐十郎の劇世界」、「井上ひさしの劇世界」、「蜷川幸雄の劇世界」の三冊は、これからも参照必至の金字塔的成果だ。また、こまつ座のパンフレットに連載していた、小山内薫を中心にした近代演劇史が中断することになったのが、かえすがえすも残念だ・・。扇田さんの評価は多多あるが、なによりいいのは、文章がいいこと、読みやすくて深い文体を持っていたこと、つまりは劇評は文章の魅力が基礎になっていないと成立しないということをおしえてくれたこと。そして私事をいえば、扇田さんは私と同じ小学校、目白小学校の4年後輩だった・・。
★M「リア」(作:W・シェイクスピア、訳:小田島雄志、構成・演出:佐藤信、構成協力:生田萬、座・高円寺)
今回がファイナル公演、渡辺美佐子の女リア、3人の娘を演じる「影」が植本潤、道化が田中壮太郎、この3人芝居、82歳の渡辺がますます元気で、3人の芝居が円熟して、舞台の純度を増して、結晶度が高い舞台になった。高齢化社会日本では「リア」は最適のテキストだということも証しだてあtのだ。
★★「賢治ーブレヒトをめぐる旅 萩京子ソングと『オツベルと象』ー新井純、石井ひとみ、歌い語るコンサート」(国分寺市立いずみホール)。新井純のトシを感じさせない歌も踊りもの姿形のあでやかさにいまさら驚き、石井ひとみが、こんなに歌がうまいとは知らなかったし、いままで観た石井の舞台の中で、こんなに可愛く、素敵に見えたのは初めてだ!

by engekibukuro | 2015-05-24 09:11 | Comments(0)  

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