7月20日(月)M「トロイダスとクレシダ」世田谷PT

作:W・シェイクスピア、翻訳:小田島雄志、演出:鵜山仁、世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター
 久しぶりに本格的な芝居を観たぞ!この「トロイダスとクレシダ」はシェイクスピアの作品中でもあまり上演されない、「問題劇」というカテゴリーに入る芝居だそうだ・・。私もむろん初めて・・。トロイダスは浦井健治でクレシダはソンミ、この相思相愛の二人のラブシーンが、いかにも古典劇風に決まっているなと思ったとたんに、それがトロイ戦争のリアルの渦に巻き込まれてしまって、悲劇としてもまるでカタルシスがない・・。古典劇風の格のような風合いとは異なる興趣と”問題”が舞台にみなぎるのだ。演出の鵜山は、この芝居を、全面的な価値の崩壊、愛、信義、名誉、平和、幸福、すべての善きものものが、ここではあっけなくくだけ散ってしまう、といい、その毀れる際の「崩壊エネルギー」を極大にもっていくこと、が狙いだと語る。また、このかなり不遇の戯曲をバーナード・ショウか、歴史の皮肉をリアルに描いた作品だと評価し、イプセンの自然主義的近代劇の先駆けになったということも了解できる作品なのだ・・。しかし、それはそれとして、この芝居、役者がすごいのだ、浦井、ソンミ、さらに吉田栄作、岡本健一、ここまでゲストで彼らを囲む文学座の演技陣の分厚いアンサンブル、渡辺徹、今井朋彦、蜷川演出でシェイクスピア劇を鍛えた横田栄司、ベタラン小林勝也、鵜澤秀行、その他の面々も文学座の底力を示した、久しぶりの本格文学座公演で、いまもっとも日本で水準の高い舞台を観たおもいで、堪能できた。それにしても、今年鵜山の演出作品を、三好十郎の「廃墟」、こまつ座の「父と暮らせば」、それとこれ、まったく異なる質の芝居を、いずれも秀作で、もう名実共の第一人者だ。
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by engekibukuro | 2015-07-21 09:03 | Comments(0)  

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