7月22日(水)
★原田宗典「メメント・モリ」(新潮8月号)
かなり前だが、「東京壱組」という劇団があった。大谷亮介が主宰する劇団で、余貴美子や水野あや、そのほか、いまテレビで活躍している役者が大勢いた劇団で、みな、串田和美のオンシアター自由劇場から出たメンバーだった。築地本願寺のホールで公演を重ねていて、とてもユニークで面白い劇団だった。この劇団の脚本を書いていたのが原田宗典、小説家としても一家をなしていて、小説も面白かった。それが、いつのまにか書かなくなって、あろうことか、麻薬逮捕の新聞ほうどうがあって驚いた・・。こんどの小説は250枚の大作で、”精神失調、自殺未遂、麻薬逮捕、家庭崩壊、大震災・・・、死を想いながら、それでも小説家は生きて書いてゆく、十年ぶりの復活長編”というモノだが、すさまじい体験をごく淡々と書く、それがかえって生きてゆくことの深刻な様相をかいま見せてゆく、そういう小説として、じつに読みごたえがあった、つまり面白かったのだ。さすがだ・・・
・藤谷治「ヌれてにアワ」、こんな日本語で書かれたホントにばかばかしいスラップステイック小説は、初めて読んだ。式根島の観音様の下に細んでいる”お宝”を5人の男女が奪い合う・・。めちゃくちゃ面白かった。
by engekibukuro | 2015-07-23 07:42 | Comments(0)