7月28日(火)★M「彼らの敵」★★S「兵士の物語」

★作・演出:瀬戸山美咲、、ミナモザ、こまばアゴラ劇場
 2013年初演と同じキャストでの再演だ。初演も衝撃的だったが、今回も非常によくできた芝居だと改めてあ感じた。1991年に早稲田の学生3人が、パキスタンでイダス川のアkヌーでの川下りをして、強盗団に誘拐された事件で、そのことで親まで巻き込んだ学生へのバッシングを劇化した舞台だ。舞台中央に円を描いただけの裸舞台に、5人の男優と女優一人が何役も演じて、2時間の舞台を独特の緊張感を持続させて少しもゆるまない。特に学生が誤った記事を書いた週間文春の記者と出鱈目な情報を提供した女性へ抗議するシーン、記者はノラリクラリとかわしながら、実はとにかく結果はどうなれ、売れればいいのだが、細かいミスはあるかもしれにが、とにかく若者の海外旅行への警鐘をならすために書いたと言い張る・・。学生の抗議など歯牙にもかけない応対に学生はしかたなく屈服してしまう。このシーンで、いまの日本の週刊誌を中心にしたマスコの情報ビジネスの実態を赤裸々に即物的に描く、このシ-ンのリアルの緊迫感は今の日本の言説状況を象徴している。そのバッシングの標的になった学生が、なんと週刊現代のカメラマンになって、バッシングをしかねない側にたって仕事をしだす、そして思わず撮ってしまったオリンピック選手のパンチラ写真を雑誌に載せることで、自分のあの事件にたち返る。編集長は記事が出て、その結果がどうなるかなど想像しても仕方ないと言い放つ、こういうニヒルなタフネスの強要がいまの時代で、その週刊誌をわれわれは読んでいる。
主役の学生・カメラマンを初演から演じた西尾友樹が、そのご所属のチョコレートケーキの芝居で評価が上がっての再演もさらに見応えがあった。ほかの役者陣もよくて、瀬戸山の感傷を受け入れないタフな筆致が時代を写す鏡になっている芝居になっていた。終演後の作者と谷岡健彦さんとトークで、イラクやISの事件にも
言及されていたが、人道や政治があまりかかわらない今回の芝居が、出発点にはなると思った
★★音楽:イゴール・ストラヴィンスキー、原作:アファナシェフ、脚本:ラミューズ、演出・振付;ウイル・タゲット
企画PARCO、東京芸術劇場プレイハウス。ミュージカル「雨に唄えば」のアダム・クーパーが主役で、ほかにラウラ・モレーラ、サム・アーチャー、アレクサンダル・クーパー。ロシアの、自分の大切にしていたバイオリンと巨大な富をもたらす悪の書を交換して悪魔に魂を奪われそうになった兵士の物語。その物語にストラヴィンスキーが魂に食い入るような音楽jを創り、名うての演者が踊り、演技をする、65分の緊密で豪華な舞台。アーテイスト4人のパフォーマンスは、舞台芸術の華だろう。
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by engekibukuro | 2015-07-29 10:09 | Comments(0)  

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