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8月11日(火)M「蒼い種子は太陽の中にある」

作:寺山修司、演出:蜷川幸雄、音楽:松任谷正隆、オーチャードホール
 Bunkamuraシアターコクーン芸術監督蜷川幸雄80歳の記念公演だ。オーチャードホールの入口近くに車椅子に座った蜷川さんがいてお祝いを受けていた。寺山が27歳の時に書いたという”幻の音楽劇”がメモリアル公演として幕を開けたのだ。主役の賢治を亀梨和也、相手の弓子を高畑充希が演じた。舞台はスラム、このゴミが舞い散るスラムは、戦後の日本のスラムであり、また蜷川のテキストの透視によって、ブリュウーゲルやボッシュの絵画からのオブジェが置かれている。この舞台に総勢48人の個性豊かな男女の顔ぶれが揃い、寺山の詩、それにつけた松任谷の音楽にのって、スラムが近代的なアパートに変貌する話にまつわる劇の起伏が進行してゆく、アパートの建設現場に工事で怪我して死んだ朝鮮人の工事夫の死体が埋められて、それを告発し、さまざまな妨害に遭う賢治・・。役者陣の多様性はおどろくばかりで、これも80歳になった山谷初男が老貴族役でがんばり、驚いたのはこれも80を超えた、小説家の戸川昌子がおりん婆さん役で出ていて立派に演じていたこと、最後にはシャンソン歌手でもある戸川がシュアンソンを唄うと思っていたら、三味線での和物の語りを語ってぐと聴かせたののでさらに感服した・・。この公演にあたっての蜷川のメッセージを書き写す。若いときの演劇活動を回顧したあとに”ぼくはまだ世界中を納得させることが出来ていない。まだ本当のすごさをわかってもらえてない。自分はこんなものじゃないはずだという、ちっぽけな自惚れだけが、いまだにぼくの原動力だ。いつも不安だらけで、そのために言葉が強くなる。で、性格はどんどん剣かい県会狷介になっていく。こんなジジイが80歳を祝ってもらうだなんて、本当は恥ずかしくてたまらないんだけど。ぼくの身体の地下水道には、あのころの鬱屈が今に至るまで流れている。そろそろ噴出しそうだ。”

by engekibukuro | 2015-08-12 09:28 | Comments(0)  

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