人気ブログランキング | 話題のタグを見る

9月1日(火)S「虹とマーブル」(作・演出:倉持裕)

M&Oplaysプロデュース 世田谷パブリックシアター

 倉持の芝居は久しぶりだったが、エンタ-テイメントの形で戦後の歴史(1960-1980)を描いて、充分見応えがある面白い芝居で感心した。話がいろいろ込み入っているし、人物の出入りが激しく、要約しにくいが、 パンフを引用すれば、”男は不動産で荒稼ぎした金を興行に注ぎ込み成功する。/「持てる女」の力を借りて、/「持たざる男女」を政界と芸能界に送り込み、/さらなる高みを目指すのだが・・・。/我に返ることに怯える男達と、/我を忘れることに慣れてゆく女達。/あらゆる高嶺の花に手を伸ばした男の、/青春から始まる20年。”
 裸一貫の男が、自分の才覚ひとつで、裏社会も表社会も潜り抜け成功し、金も女も手にいれるというよくある話ではあるが、最後はきわどい局面を迎えて・・。どうしたって血をみたり、俗っぽいシーンがいろいろでてくるのだが、倉持はそれをさらっと描き、大理石(マ-ブル)の階段の輝やきや、虹の光の唐突だが効果的な挿入で昭和の時代への愛惜をきちんと感じさせた。この主人公を演じた小出恵介は倉持のテキストのコンセプトをしっかり体現した演技で、ヤクザあがりの男を演じた小松和重が達者で面白く、倉持主宰の劇団、ペンギンプルペイルパイルズの小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡が舞台を支えていた。倉持の芝居つくりの進境を如実に感じさせた舞台だった。

by engekibukuro | 2015-09-02 10:25 | Comments(0)  

<< 9月2日(水)M「RED-レッ... 8月31日(月)「刑務所図書館... >>