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9月7日(月)S「夜への長い旅路」シアタートラム

作:ユージン・オニール、翻訳・台本:木内宏昌、演出:熊林弘高

 アメリカの代表的劇作家で、ノーベル賞を受賞したユージン・オニールの書いた世界最高の「自伝劇」といわれている作品だ。1953年、”肺炎で65歳の生涯を閉じるまで、彼の人生は常に「病」と「死」の影がさしていた。青年時代の自殺未遂に、過度の飲酒と断酒、結核の罹患経験。生前はパ-キンソン氏病と誤診されていたが、死後に脳細胞委縮症と判明した老年期の深刻な心身機能低下。自分のことばかりではない。実兄はアルコール依存症の末に悲惨な死。長男は自殺、手首を切って。長女、次男は絶縁状態。数々の家庭不和に、、三度目の妻の薬物依存に関する法的なトラブルもあった。繊細な神経は絶えず暴風にさらされた。”(パンフより)。
 この戯曲は、そのような生涯を赤裸々に反映した重苦しい内容だが、だが、長時間の舞台劇には、その暗く長い時間を堪えさせ、人間の真実に目覚めさせる天才的な劇作術があるのだ。この芝居は、モルヒネ中毒の母親(麻実れい)、旅役者上がりで吝嗇漢の父親(益岡徹)、アル中の長男(田中圭)、詩を書く病弱で重度の結核を患う次男(満島真之助)の4人の、すさまじい愛憎劇だ・・。全編上演すと5時間以上を要する芝居だが、今回は2時間15分に整理した。この芝居は、2000年に新国立劇場で栗山民也演出でほぼ全編上演した。出演は津嘉山正種、三田和代、野々村のん、浅野k和之、段田安則だった。この舞台はずしんと重いが
、忘れられない感動的な上演だった。それとどうしても比較するのは仕方がない。だが、田中圭、満島真之介はこの難戯曲に果敢に挑んでいる姿は見事だった。そして、オニールの芝居は短縮すると、成立が危うくなるということを解らせた功績は充分評価できる・・・。

by engekibukuro | 2015-09-08 10:35  

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