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9月23日(水)筒井康隆「モナドの領域」(新潮10月号)



・330枚一挙掲載、雑誌の惹句は”GOD.は人類を慈しみ、小説家は小説を愛し抜いた。いま、小説は神を超えた領域へ・・・著者最高傑作にして(おそらく)最後の長編”
 「モナドの領域」は、ライプニッツの「単子論」のモナドに由来するが、ほかにトマス・アクイナスとハイデッカーとか哲学者の話が頻発し、それと美大の彫刻の学生がベーカリーのバイトをやって、動物型のパンを造形する話が最初にでてきて、その学生が女の片腕と片足のパンを造り、その片腕パンがうれまくるのだが、実は現実の河原に女の片腕が、公園に女の片足が放置されていた事件が発生していた・・。つまり一種の哲学的SFミステリーで、筒井の主要分野、独擅場の小説だ。とにかく、80歳過ぎて、こんな充実した、ややこしくてこちらの無教養ではついてゆけない、-(r)(s)(t){rEs&sEt→rEt}}―などという数式がでてくる小説を書くエネルギーに心感服した。つまり宇宙の全てと、街のおあかみさんのため息の原因までワカッテイル男”GOD”の話、現実のありのままの世界(原発問題も安保関連法案まで視野にいれた)と、あるうべき可能世界との接点を描く、哲学小説であり、ページをめくるのももどかしい面白いエンターテイメント小説でもあり、読み終わるとなんだかよくわからいが、茫然とした充実した読後感がある不思議な小説だった、傑作だろう。

by engekibukuro | 2015-09-24 09:28  

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