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10月9日(金)S「離陸」(作・演出:松井周)サンプル

 早稲田小劇場どらま館

 毎回趣向の異なる舞台を見せる松井の今回も、地味に意表をつく舞台であった。登場人物は3人、それもサンプルのいつもの常連ではなくて、ダンサー・振付家の伊藤キムと、岡崎藝術座など小劇場に出演多数の稲継美保と松井自身の3人だ。伊藤キムのフツーの芝居を、演技を初めて観たが、なかなか味があって、この芝居の松井テイストの醸成の要になっていた。狭い舞台に長いテーブルがほ全面を占め、テーブルノの両はじに椅子が一脚、芝居はこのテーブルの上下、両脇で終始する。兄が伊藤で、その妻が稲継、弟が松井、兄は教師で、弟は小説家志望で無職tらし・・。ある日、兄が弟に、自分の妻と弟が二人で一泊r旅行してこいと金を渡す・・。二人は行くのだが・・。松井は、劇場チラシで、”都市で育ったゆえの焦りにも似た独りよがりな価値観や文学的で内省的な世界観で、今まで作品をつくってきてしまったのではないか?という疑いです。と同時に、食って、飲んで、寝て、稽古しての日々は生き物だよなあなとという人間のふてぶれしさにも気づけも
しました。”と書いている。この3人の関係の奇妙なメタフイジカルな観念的な会話と、もろベタな言行や振る舞いが調和を壊すというより、そもそもその不調和こそ狙いだという芝居だと、勝手に納得した。今回の松井らしいアクセントは、兄弟愛が、性愛まで深くなることの怖さと、そのことの幼少期の痕跡の存在感が消えない現実だ。いずれにしろ松井の演劇探求の旅のユニークな報告だった。、

by engekibukuro | 2015-10-10 09:51 | Comments(0)  

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