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10月10日(土)M加藤忍一人芝居「花いちもんめ」

作:宮本研、演出:加藤健一、下北沢・駅前劇場

 この一人芝居で加藤忍は女優としての真価を見事に示した舞台だった。なかなかつらい内容で、物語に溺れてしまいかねない悲しい話だ。戦時、別天地だといわれた満州の、それの象徴のような白系ロシア人が、西洋的な街につくりあげたハルビン・・・、だが、この物語の主人公一家はそのハルビンからはるか離れたソ満国境の寒村でわずかな収穫をたよりに暮らしていた農民一家だった、そして敗戦、ソ連が攻めてきて男は村に残ったが、女子供は逃げた・・・。この物語は、この一家でただ一人日本に帰ってきた母親が、四国のお遍路の旅に出て、お遍路姿で一家の離散を語るのだ・・。苦難の帰途、ソ連兵に追われ、金品を強奪され、、強姦され、子供は中国人に売る母親もでてきて・・・。この主人公は、母子で一緒に♪”花いちもんめ”を歌うのがいちばんたのしみだった長女と下の男の子を連れて逃げてきたのだが、ついに女の子は中国人に預けてしまい、下の男の子も病院で死ぬ・・。この顛末を加藤は明るい日差しの下で、白いお遍路姿で語る・・。戦後、中国人孤児の帰還があhじまり、主人公の中国で結婚した娘も日本に来て母親を探した、けれど主人公は逢いにいかなかった、”自分は娘を捨てたが、自分も娘に捨てられたのだ”という思いの深さがそうさせたのだ。ここで教えられたが、孤児に会うのは父親や兄弟で、母親は決して逢いにいかないということ!娘は母に遭えずに、一緒に”花いちもんめ”も歌えず、お遍路の母の道中の四国の上空を飛び帰って行った。加藤は、物語を明確に力強く語り抜いた・・、決して物語に溺れず、感傷の気配を厭い、むしろ明るいくらいに語った。その話法が、四国のお遍路の母親と、はるか上空の飛行機の中の娘の永遠の別離の、忘れがたいイメージを確固としたものにしたのだ。一人芝居は演じるのも、観るのもそうたやすくないものだが、それを加藤忍はきちんと乗り越えたのだ・・・。、

by engekibukuro | 2015-10-11 09:29  

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