人気ブログランキング |

10月11日(日)長井和博「劇を隠すー岩松了論」

★この本は、まとまっての感想や結論など書けない。なにしろ、この本の初出が載ったいまや「小劇場を支えた伝説の週刊ニューズレター」といわrている、1984年から、96年まで小森収のてによって刊行された「初日通信」の執筆者のはしくれだった私が、この岩松論がさっぱり理解できんなかった論文だったこと。ただ「反ドラマテイックアイロニーのほうへ」というタイトルに、さすが長井さん、東大の哲学を出た人らしいタイトルだなあ・・と思ったくらいでだたでさせわかりにくい岩松の芝居が、まします深遠になって・・と言う具合だった。さて、15年以上たったいま改めて稿を改めたこの本を読むと、理解できたとかいうより、とにかく素晴らしい本だだという印象がまず確固としたものになった。現在まで60本を上回るらしい上演された戯曲のなかで、長井が取り上げて絶対的に評価するのは、「お茶と説教」・「隣の男」・「市ケ尾の坂」・「アイスクリームマン」の4本だけなのだ。これは他の作品がつまらないということではない、とにかくこの4本が傑出しているということだ。わたしもこの4本は面白いと思った芝居だが、ここまで綿密に深く分析し、フロイドやラカンの引用も殊更らしくなくて、なにより、言語による舞台の完璧な再現という、自分がしようとおもってもなかなかできないことが、この本で立派にできているのだ。とにかく、この4本がいつか再演されたら、それを観て、この本を読むという楽しみが可能なのだ。ほかいろいろ岩松の芝居ついては、いろいろ教えられたり、考えなおすところがあるが、それに長井が岩松の芝居でもつまらないものは、きちんと批判している、が、一番なのは、長井の岩松の劇作へのナイーブなくらいの愛が全面的に感じられる本だということ。こんな感じを受けた本はめったにないことだ・・。また、再読してちゃんと書いてみたいと切に思う。

by engekibukuro | 2015-10-12 09:34  

<< 10月12日(月)M「Need... 10月10日(土)M加藤忍一人... >>