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10月16日(金)★M上野ストアH★★Sこまばアゴラ劇場

★「烈々と燃え散りしあの花かんざしよ」(作・演出:シライケイタ)温泉ドラゴン
 大正期、病人(大正天皇)と坊ちゃん(皇太子:昭和天皇)を爆死させようとした嫌疑で権力に捕縛された、朝鮮人朴烈と日本人金子文子の物語を取り上げた、この上野ストアハウスコレクション日韓演劇週間にまことにふさわしい物語だ。冒頭の台上に立つ金子文子の裁判場面が強烈だ。文子は堂々と朴烈との内縁関係を認め、病人と坊ちゃんを爆裂弾で殺す意図を承認する。そいて自分は虚無主義者だと宣言する。この朴烈事件は企図はあっても実現できなかった、その同志たちの結束もなにかあいまいでもうひとつ不鮮明な事件で、さらに文子の生い立ちが複雑すぎて、それをシライは懸命に解きほぐすが、それをシライの芝居作りの巧さで見せるのだが、文子と朴の虚無主義と反権力、朝鮮奪回の運動の孤独とエキセントリシーの際立ちが薄いうらみがあって、事件のの核心が見えてこない感じが残ってしまった。が、いろいろあってもその時代に朝鮮人と日本人の愛そのものは鮮明に感じられて、今の日韓の時代にも忘れられない新しい光が照射されたのだ。
★★「従軍中の若き哲学者ルートビッヒ・ウイットゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り付いた最後の一行”-およそ語りうるものについては明晰に語られ得る/しかし語りえぬことについ人は沈黙せねばならない”という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語」(作・演出:谷賢一)、テアトル・ド・アナール。不覚にもこの芝居は谷が翻訳した作品だと思っていたが、谷が書いた作品なのだ。戦場でも、自分の哲学の課題を考究し続け、周りのあからさまな妨害、嫌悪にも打ち勝って行くウイットゲンスタインの姿をこんなにも深く描けるとは、谷賢一の凄さを知らされた舞台だった。ウイットゲンシュタインを演じた古河耕史も立派に演じて見事だった。まわりの兵士を演じた、榊原毅、大原研二、小沢道成、本折智史も強力なアンサンブルを形成していた。びっくりした舞台だった。

by engekibukuro | 2015-10-17 09:33  

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