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11月12日(木)M「オレアナ」パルコ・プロデュース

作:デイヴィッド・マメット、翻訳:小田島恒志、演出:栗山民也

 田中哲司と志田未来の二人芝居。田中は今年、小栗旬との二人芝居「レッド」でアメリカの画家ロスコを演じて感心した。この芝居でもその延長で、まったく安心できる演技力で見応えが充分あるのだが、感心したのは、わたしは初めて観る志田未来。田中は大学教授ジョンで、志田は学生のキャロル、このキャロルが単位をもらうためにジョンに懇願する・・・。ジョンの部屋での二人芝居で、ジョンは大学の終身在籍の権利が目の前で、新居を買うのに夢中で、キャロルと面談していても、その新居関係の電話がひんぱんにかかってきて中断する・・。ジョンとキャロル会話は、キャロルの切迫感と、ジョンがそれをいなすような態度が、二人の関係を険悪なものにしてゆく・・・。この芝居が二人のバトル芝居の様相を呈してくるのだが、志田が田中に一歩もひかず、これはそういう役だからでもあるのだ、迫力いっぱいの演技をするのが目を瞠らせるのだ・・。この二人のは最後にはジョンの破滅にちかい状態まで追い詰められるのだが、この面談が、そこまで行く内容なのかは別問題で、これはむしろマメットという劇作家の特性、それほどでないことを、そのことのエキセントリックな要素を過大に表現する作風による・・・。だから、この芝居は二人の、この会話による事柄の行く末と言うより、バトルのためのバトル、芝居のための芝居という感じが濃い・・。だから結果があまり気にならない、バトルの時間を楽しめばいいのだ・・・。それが充分堪能できたのが、ほとんど初舞台に近いような志田が、この難役を見事に演じぬいたことによるのだ。びっくりした・・。

by engekibukuro | 2015-11-13 09:35 | Comments(0)  

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