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1月11日(月)M「王女メデイア」平幹二朗

  
 原作:エウリーピデース、修辞:高橋睦郎、演出:高瀬久男、田尾下哲、幹の会・リリック、東京グローブ座

 82歳の平幹二朗の王女メデイア・・。1978年、蜷川幸雄の演出により男優として王女メデイア役に挑み、そして1983年にはアテネの舞台に立ち、ギリシアでギリシア以外の国の人間がゴリシア悲劇を演じて、大絶賛を浴びるという快挙を成し遂げた・・。
 この舞台でも、それを彷彿させ、実に見事な舞台で感動する。ただ、故高瀬の演出を踏襲したこの舞台は、蜷川の演出と違って、スペクタクルの要素は削いでいる。よりリアルに土地の女のコロスが、メデイアに寄り添い、メデイアの運命に知っていながら関与できない嘆きが中心になっている。メデイアが夫に理不尽に裏切られ、復讐を誓って、夫の領主の娘の新婦を殺し、さらに領主をも死なせ、自ら我が子二人の息の根を断つ、これらの経緯をリアルに追っている舞台を観て、メデイアの行為をあれこれ考えるのは、それはそれで観賞の要素だが、スペクタクルにならないにしても、これだけの惨劇は、リアルな感触の域を超えた、なにかメタフイジカルなクレヴァス、一切を鳥瞰するような視点が・・・・と一種のないものねだりのような感情も湧いてくる。それも平の素晴らしい演技があってこそだ!

by engekibukuro | 2016-01-12 08:40 | Comments(0)  

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