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4月5日(火)M「イニシュマン島のビリー」

作:マーテイン・マクドナー、翻訳:目黒条、演出:森新太郎、企画制作:ホリプロ、世田谷パブリックシアター
  
 アイルランドの離島の話。この離島にアメリカ人の映画監督がドキュメント映画を撮っている。そのことが、この離島の人々に呼び起こした波紋が中心になる芝居だ。マクドナーの芝居は、アイルランドの僻地の人々の露骨で刺激的な言葉や振る舞いを容赦なく描く強度と、それが人間の営みのひとつの独特な生き方だという普遍性とのアンビバレンツが強烈な印象を与えてきた・・。強度の刺激が前面にでると非常に特殊なだけの舞台になりかねなくて、普遍性を隠してしまう。今回の主人公は島の人々からは”びっこのビリー”と呼ばれているが、びっこは差別の言葉でなく、愛称だ。このビリー、びっこで生まれてきたとき、両親が海で死ぬ。その真因は不確かだが、、今は小さな商店を営む伯母ふたりに育てられてきた・・。そのビリーを古川雄輝、ビリーの幼馴染みのヘレンを鈴木杏、その弟が柄本時生、島のゴシップ屋のジョニーパテイーンマイクを山西惇、伯母のケイトが峯村リエ、その姉のケイトが平田敦子、漁師のバビーボビーが小林正寛、島の医師マクシャリーを藤木孝、ジョニーの母親の90歳の酒飲みのミセス・オドーウガルはは江波杏子の布陣で演じられるこの舞台は、ビリーが映画監督に注目されて、ハリウッドへカメラテストに行って、しばらく島を留守にするということが中心だといえ、あくまで卵やで働く器量自慢のヘレンのエキセントリクな振る舞いなどがアクセントになる島の日常のこまごました出来事の連鎖の生活感が最大の魅力の舞台だ。ハリウッドでびっこを演じるのに選ばれたのは、びっこのビリーではなく、健常者だった。森の演出は、廻り舞台をうまく使い、よくバランスのとれた舞台を創り、マクドナーの魅力を伝えていた・・。

by engekibukuro | 2016-04-06 09:58 | Comments(0)  

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