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4月14日(木)M「二人だけの芝居」劇団民藝

 作:テネシー・ウイリアムズ、訳・演出;丹野郁弓、東京芸術劇場シアターウエスト
 劇団民藝が奈良岡朋子の相手に岡本健一を呼んだ二人芝居だ。
この二人芝居、なかなかつかみにくい・・・、表面上の物語は、役者であるクレアとフェリースの姉弟が、地方公演のさなかに他の劇団員から見放されてしまい、二人だけが残り、二人でどういう芝居をやるのか、いろいろ考え、稽古らしきことを始める・・・というものだとするが、二人が話すこと、やってることはなにかとりとめなく、拡散する・・・。なにか、テネシー・ウイリアムズの非常に個人的な世界、生涯のほとんどを精神病院ですごした姉のローズ’(「ガラスの動物園」のローラ)との関係が、すぐに思い浮かぶし、テネシーが芝居をつくる、その作り方、芝居の世界のイメージのもっとも根柢に抱いているもののデッサン、生涯を芝居の世界にうずめた自身の自画像、さらに姉への愛の純度の高い変奏曲でもある・・。つまり濃密な純度の高いテネシー・ウイリアムズの世界のエッセンスだろう。そして、この舞台は、奈良岡朋子とう女優が、いまの日本での最高峰の女優であること、幼女から老婆まで、奈良岡の演じるクレアは、女優が人間の心の叫びをどこまで演じることが出来るか、その純度のおだやかで怜悧な披瀝だった。それに岡本は精一杯対応する姿は、充分に見応えがあった・・。

by engekibukuro | 2016-04-15 09:35 | Comments(0)  

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