人気ブログランキング | 話題のタグを見る

5月3日(火)


 朝日新聞の片山杜秀の文芸時評で取り上げられていた2作品、谷崎由衣「天蓋歩行」(すばる5月号)と鹿島田真紀「少年聖女」(文芸夏号)を読む。
「天蓋歩行」は語り手の私という存在が全然解らなかった。片山評を読み返すと、「私」は熱帯雨林の大樹だと・・、「時にはその天蓋のような樹冠を『掻き分けて』『重さのないような足取りで』『彼女が私へ入ってくる』。これが天蓋歩行。彼女は花粉だ。」 そうなのか、片山は冒頭に「女性作家たちの想像力に脱帽だ」と書いているが、その想像力に理解が届かないのだから・・情けない・・。
 「少年聖女」は主人公の短髪の両性具有的な”タマ”という女性に、片山はドストエフスキーの「白痴」のムイシュキン公爵を連想しているのは納得できた。

・ひと月に一回晩の食事をつくる当番の日。壇一雄「壇流クッキング」からクラム・チャウダーを作る。いまではクラム・チャウダーちっとも珍しくない料理だが、いまから40年前には珍しい(中公文庫の「壇流クッキング」の初版は昭和50年)料理だった。
「アメリカ合衆国には、素朴で、手軽な、おいしい料理が、さまざまある。このクラム・チャウダーなども、アメリカの簡素で、おいしい料理の傑作の一つだろう。
 私は、かっら風の寒い日に、ニューヨークのセントラル・シテーションの地下街で食べたクラム・チャウダーのぬくもりを、今だって、忘れない」と壇さんは書いている。
 アサリの煮汁とミルクをベースにしたアサリのポタージュだ。それとこれも「壇流クッキング」から、イカのスペイン風、イカの全貌をスミもワタもぶつ切りにして、ニンニクと唐辛子を入れて、オリーブ油で炒めただけの惣菜、ワタをパンにちつけるとおいしい・・・。

by engekibukuro | 2016-05-04 09:48 | Comments(0)  

<< 5月4日(水)S「青森に落ちて... 5月2日(月) >>