人気ブログランキング | 話題のタグを見る

5月29日(日)S「秘密の花園」唐組 雑司ヶ谷・鬼子母神

 作:唐十郎、演出:久保井研・唐十郎
 この「秘密の花園」は、下北沢本多劇場の杮落し公演で、出演は柄本明と緑魔子、この芝居、本水をたくさん使って、劇場下のパン屋を水びたしにして大騒ぎになった・・・。

 ”日暮里のあるひしゃげたアパート。そこに暮らす夫婦の元に、アキヨシは通っている。カヤバレーホステスの一葉(いちよ)とポン引きの夫、大貫。アキヨシは毎月の給料を二人のとこlろへ届けているのだ。託児所で火事を出し、その夫妻から水商売に身を落とした夫婦ははばかることなくアキヨシの給料を期待している。
 アキヨシは一葉にプラトニックな思いをいだいていた。夫の大貫も金のためか、そんなアキヨシの割込みを容認、奇妙な三角関係は二年続いている。・・・”
 物語の大枠はそうなのだ・・・、この舞台はアキヨシを演じる気田睦のモノローグがこの芝居の世界を作ってゆくサマが素晴らしい、徐々に世界が、日暮里の街の気配が、何本もの鉄道が交差するその音響が、アパートのひどく複雑で、しかも、なにやらわからない一本の軸、それは銭湯の菖蒲湯からかすめとてきた菖蒲でイメージされ、その菖蒲と日暮里の坂を上り降りる自転車の銀輪・・・。その顛末、街の人々の消息は詳らかにするのは困難だが、アパートの部屋の出来事の密度は、魅力的に濃厚になってゆく・・。一本の漆の木があり、それでかぶれる日暮里という地名、それと日暮里の坂、そこを上り下りする自転車、そして菖蒲の束、それらのイメージだけで、秘密の花園の入口が充分示唆されるのだ・・。
初演の感動を充分に蘇らせてくれた舞台だった、役者も全員魅力的だったが、とくに主役の恩田睦の役を創る持久力が際立っていた。
・この日は流山児祥さん、渡辺弘さん、佐伯隆幸さんに会う。山崎哲さんも来ていた。終わっての呑み会では松井周さんい会った。

by engekibukuro | 2016-05-30 10:25 | Comments(0)  

<< 5月30日(月)戌井昭人「すっ... 5月28日(土)M「尺には尺を... >>