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7月1日(金)タニノクロウ

タニノクロウ作「地獄谷温泉 無明の宿」(白水社)

 岸田国士戯曲賞受賞作品
タニノの故郷の富山県の山奥の、宿主が不在の温泉宿での出来事・・。人形師とその息子がその宿から人形芝居の依頼を受けてやってきた。しかし、依頼主が不在で・・・。勝手にやってきて温泉につかる人たちがいるだけ・・・。その人形師倉田百福は背丈三尺の小人症の老人で、白い髭が背丈ほどに伸びている・・。”人形は顔の大きさに比較して体は小さく細い。両腕は細いが、手の五指はすべて大きくて長い。特に親指が長い。裸の人形、大きな陰茎がダラリと垂れている。カナダの脳外科医ペンフイールドが示したもので、大脳皮質運動野と体性感覚野と身体部位との対応関係を強調させて出来上がる人間のモデル「ホムルンクス」である。”この人形を息子の一郎の胡弓の伴奏で芝居をさせる・・。この人形師をタニノが主宰する庭劇団ペニノの主力俳優である、自身も小人である山田マメが演じた・・。しかし、私はこの上演を見損なっている。岸田賞の受賞パーテイでマメさんがその一端を見せてくれたが、異様な迫力があった。芝居全体を観たかった・・。戯曲を読んでも、その宿にやってくる人物たちが面白く不気味に描かれていて、戯曲賞に十分すぎるほどの作品だ。タニノは精神科医でもあるが、両親も精神科医だそうだ。ほんとうにおもしろい戯曲だった。

by engekibukuro | 2016-07-02 09:25 | Comments(0)  

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