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7月20日(水)M「殺人者J」駅前劇場

作・演出:中津留章仁、トラッシュマスターズ
 中津留の旺盛な創作意欲は、すさまじいものだ。今年はすでに2本、これからも秋に劇団民藝、劇団東演に書き下す・・。この芝居は本拠のトラッシュマスターズの芝居、休憩なしの2時間半。舞台はある会社の左右の二つの部屋。この会社は、警備会社で現在海外での傭兵会社を興して、一種の軍事活動を起こすプロジェクトに関していろいろ問題が起こり、それにとても複雑な人間関係、男女関係が伏在、顕在していてたいへんなのだ。それら一切が、社長と社員らの生硬な会話で終始し、それは会社の事業の、人間としてのモラルを正面から問うものだ。殺人者JのJとは、JAPANのJか・・。こう書いていても、この芝居の内実を理解したと思うことが、おぼつかないのだ。さらに、社長は自殺するのだが、その唐突さも理解を超える・・。これは、通常の俳優の演技とか、そういう普通の演劇的な要素が希薄で、演劇的な感興をほとんど喚起しないからだ。しかし、ふしぎなことに2時間半、中津留の強引な腕力のなせる業か、飽きることはないのだ。それは、芝居全体の底辺に、現在の日本に生きることのつらさ、不安がからみとられているのだと、そのリアリテイが舞台を見つめ続けさせるのだろう。 まことに厄介だが、ほんとうに得難い、不思議な劇作家だと、またしても思わせた舞台だったのだ・・・。

by engekibukuro | 2016-07-21 09:24 | Comments(0)  

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