人気ブログランキング |

9月21日(水)M「弁明」文学座アトリエ公演

作:アレクシ・ケイ・キャンベル、訳:広田淳郎、演出:上村聡史

 イギリスの高名な女性美術史家の一家の話。舞台はその女性の家。この女性アはトイレの棚にカール・マルクスの写真を置いている、先鋭な政治社会批判の闘士でもあった。美術史の専門はジオットで、赤貧の家に出自して立派な画家に大成した画家を研究対象にしてきた。息子は二人いて、長男は彼女が嫌う銀行員で、次男はものか書きを目指しているフリーター、それぞれに妻がいる。この一家がてんでにこの女性の誕生日に集まるのだが、そこであばかれるのは、この女性の子供たちの教育の仕方の、自分の研究や活動を優先して子供たちをなおざりにしたこと・・。夫・父親は別れてしまっている。子供やその連れ合いにそれを指摘される、自伝的な本でも子供たちのことは一切書かれていない。この芝居は、そのことに対する彼女の弁明が中心になる。その女性クリステイン・ミラーを演じる山本道子がその女性の存在をしっかり確保して芝居の中心的役割を立派に果たしていた。この「弁明」はソクラテスの「弁明」とか、観念的な主題を包含するし、このい一家の話題、話し方、それらのたたずまいはあたりまえだが純然たる英国風だ。だから、この芝居が、翻訳劇だということ、そのことが歴然としているのが、日本との差異、共通する普遍性をいうより、差異をしっかり定着させたこと、文学座の翻訳劇の伝統をしっかり感じさせたこと。それは自らに引き付けるより、差異そのもを感じて、普遍に近ずくルートを示した舞台だった。

by engekibukuro | 2016-09-22 10:35  

<< 9月22日(木) 9月21日(水) >>