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11月24日(木)


 ・片岡義男「ピーナツバタで始める朝」読む・・。
「子供の幼さとは決別しているが、大人の俗世間にはまったくそまっていない、年齢的にも内容的ににも文句のつけようがない、理想的なありかたの賢さだ。その賢さから出てくる言葉つまり台詞には、澱みや陰り、妙に屈折したところ、厭味なもの、変に陰のある部分などが、見事に皆無だった。くっきりと曇りなく、明晰で純粋な、言葉は晴れ晴れとした直線を経由して、劇中の人々に届いた。理想的主義的な硬さなどどこにもなく、現実が持たざる得ないさまざまなニュアンスつまり個々の事情を、彼女の言葉は決して裏切らなかった。自分の利益に照合して人をいちち秤にかけるうっとおしさを毎日の現実として生きている大衆にとって、彼女が体現した賢さとその言葉は、切実に理想的だった。」
 これは吉永小百合の「キューポラのある街」を論じた。「明日への規模は社会の財産」というエッセエーから・・・。

by engekibukuro | 2016-11-25 07:41 | Comments(0)  

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