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12月18日(日)秋元松代

 山本健一さんの「劇作家 秋元松代 荒地にひとり火を燃やす」を読み感動したが、秋元の作品は観劇するだけで、戯曲を読んでいなかった。そこでこれからできるだけ読もうと、まず「かさぶた式部考・常陸坊海尊」(河出書房 河出文藝選書)を詠んだ。この二つの芝居は、演劇座の上演で観て、いあまでもありありと思い出す舞台だったが、改めて読んで、この二つの戯曲の密度の濃さ、発想の独創性に驚き、秋元のすごさを心底感じた。「かさぶた式部考」の九州の炭鉱の事故で、なかば廃人になってしまった男が、和泉式部を源流にもつ新興宗教の妖艶な美人の教主に遭遇して、いっときたち治る物語は、社会の底辺の民衆の願望を洗いあげた作品だ。「常陸坊海尊」は東北の海尊伝説にまつわる話で、東北に学童疎開した子供が東京の家が空襲で焼け、家族がいなくなってしまった子供が、海尊伝説にまつわる暮らしで生きてゆく物語り・・・。私も学童疎開に行った子どもだったから、身につまされる戯曲だった。いずれにせよ、秋元のすごさは、この戯曲集の長い取材にかんするあとがきでもわかった。これから、他の作品も読んでゆこう・・。
・明日のブログは朝早く病院にゆくので、翌日になります。

by engekibukuro | 2016-12-19 09:35 | Comments(0)  

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