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22月10日(金)★M文化座S★★シアターコクーン

★「命(ぬち)どう宝」(作:杉浦久幸、演出:鵜山仁)東京芸術劇場シアターウエスト、文化座創立75周年記念公演
 この芝居は、沖縄の本土返還前に米軍の軍政に抗して戦った瀬長亀次郎、それと沖縄戦と沖縄戦後史の縮図である伊江島で島民の先頭に立って「乞食行進」などで沖縄全土を回っ阿波根称昌鴻、それと沖縄教職員会会長の屋良朝苗の活動を描き、その人物像と、軍政下沖縄の過酷さを描いた舞台だ。この舞台を観ていると、本土復帰後の沖縄も辺野古の埋め立ての強行など、軍政下の時代と変わらぬ圧政下に今の翁長知事の奮闘にかかわらず、置かれていることを思い暗澹とする。アメリカの間接支配は続行し
ているのだ。
★★「陥没」(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィチ)
 この作品は、”昭和4年=世界大恐慌の年を描いた「東京月光魔曲」(2009年)、昭和20年=敗戦の年を描いた「黴菌」(2010年)に続く「昭和三部作」完結編の舞台として選んだのは、東京オリンピックを二年後に控えた昭和37年の新宿のはずれ。建設されたはいいが、オープンにこぎつけられそうにない、あるレクリエーション施設。高度成長期で日本中が浮かれる中、どういうわけか時代の溝にはまってしまった一組の婚約中のカップルと、二人を取り巻く人々を描く群像劇”だ。豪華ホテルのような超派手な建物の中で繰り広げられる群像劇は、生瀬勝久や高橋惠子などベテランらの豪華キャストでケラの円熟味をたっぷり感じさせる舞台だった。
 しかし、まるで異なる沖縄と本土の昭和も、この二つの芝居を観ていると、現在の日本は沖縄の現在の現実に近似してくる、アメリカの間接支配の力を制御できない、日本のこれからの厳しさを感じるのだ。

by engekibukuro | 2017-02-11 10:08 | Comments(0)  

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