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2月17日(金)



・藤谷治「花や今宵の」を読む。
 ファンタジックで一種の怪奇味のある独特の小説でラストの意外性に驚く・・。
特定されないが、地方都市のはずれの村が舞台だ。主人公は母と祖母に育てられ、勉強がよくできて高校から大学まで東京で一人暮らしをする。
 話は、この田舎の実家の持ち山の”しんの”という小さな山の怪奇現象だ。この村は、平家の落ち武者の末裔が住んでいるというということが、金持ちの村の地主が暇に任せての”研究”の結果として流布している。”しんの”という山は19年に一回12月22日に桜が咲くのだ。主人公の少年時代、女ともだちとこの祖母によってほぼ禁制になっている”しんの”に上る。その日は12月だというのに生暖かく、曲がりくねった松のある山の桜が満開で、地面は落ちた桜の花で覆われていた。そこで事件が起こる、女友達が消えてしまうのだ。消防団や警察も懸命に探すのだが、ようとして見つからない。そして19年たった12月22日に主人公は、金持ちの主と、ひとりの友だちと”しんの”に入る。満開の桜が咲きそろっている間に、主人公がいつの間にか消えてしまう・・。そして、意外な結末が・・・。それは書かない。このちょっとSFの君のある小説は、今までの藤谷の小説とは異なるテイストがあり、ラストは読み返してみたが、ギリギリの意外性で、その危うい感じが、この小説の命だろう。とにかく面白かった!、

by engekibukuro | 2017-02-18 09:34 | Comments(0)  

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