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2月21日(火)「革命伝説・宮本研の劇世界」

 日本近代演劇史研究会編(社会評論社)
 宮本研の劇作品を初期作品をふくめ12作品を考究した本だ。その中で私も加入している「俳句を作る演劇人の会」の仲間の明治大学の伊藤真紀さんが「夢・桃中軒牛右衛門の」-「反歴史劇の」語りーを読む。私の世代では、ちょうど新劇からアングラ劇への移り変わる時期に出てきた新劇系の宮本は、なかなか巡り合わせが悪い作家で、主要な関心にはなりにくい作家だった。代表作「美しきものの伝説」も埼玉芸術劇場のネクスト・シアターの蜷川幸雄の演出の舞台まで、面白さがよくわからなかったぐらいだ。ただ、この「夢・桃中軒牛右衛門の」だけは、文学座で上演した舞台で、牛右衛門を演じた北村和夫の浪曲を交えた迫力のある演技で圧倒された。その作品を伊藤さんが取り上げていたのは実に幸いだった。特に、この作品が宮本が花田清輝の評論から触発されたということを知って嬉しかった。私も花田の熱烈な愛読者だったから・・。大陸浪人・宮崎滔天の中国革命への夢を語ることが、北村の演技の迫力の大元だったことが、よくわかり、伊藤さんが、さらにこの芝居が、ブレヒトの異化装置の影響があったというのも説得力があった。宮本作品総体のことは、この本を完読したとき改めて・・。とにかく良い研究論文だった。
・「皆。シンデララがやりたい。」(作・演出:根本宗子)、M&Oplays、本夛劇場。アイドルおっかけの女4人の芝居、いろいろあった末に高田聖子扮する、40過ぎの独り者の地味な女性が最後の彼のためのホストクラブでのシャンペンタワーを立てることができた、という芝居。テンポのよい活気ある舞台だった。

by engekibukuro | 2017-02-22 10:23 | Comments(0)  

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