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3月31日(金)M「あるいは友をつどいて」

作:鐘下辰男、演出・上演台本:松本光生、演劇ユニット ハツビロコウ、SPACE梟門
 ”1974年(昭和49)年8月30日、丸の内にある三菱重工業本社ビル玄関脇で時限爆弾による大爆発が起きた。11階建てのビルのガラス窓は残らず砕け落ち、ガラス片が道に降り注いで通行人を直撃。死者8名、重軽傷者376名の大惨事となった。一ケ月後、東アジア反日武装戦線”狼”が犯行声明を発表。マスコミは彼らを「血に飢えた爆弾魔」、「もはや人間ではない」と表現した・・。”
 この芝居は、その事件で時限爆弾の爆発寸前に電話予告して、退避を促した男の物語。捕まった狼のメンバーは予告した男の名を最後まで上げなかった。その男は、山の中の飯場に逃げ、その飯場の飯炊き女と結婚した。芝居はその女の連れ子が成人し、ある代書屋の男の話を聞く・・・。山に逃げた男は街に戻り、鉄道自殺をしたのだ。その男が代書屋に物語る事件のこと、反日の過激派の言葉は、いま聞くと壮大な虚しさとしか聞こえない。その虚しさそのものが、国家や資本主義に抑圧されている人民のその後の生き方を思わせる。この芝居が、いま国家に対する国民の言葉が、この芝居で語られる言葉の壮大な虚しさのあと、有効な言葉がほとんど皆無であることを感じさせた。久しぶりに鐘下の演劇の健在を知る舞台だった。先日の「舞台版:実録ー連合赤軍」との関連を思わせ、何かが変わる兆しかとも思ったりもできた舞台だった。

 

by engekibukuro | 2017-04-01 06:45 | Comments(0)  

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